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本田圭佑 10年前

戦術的に機能した本田。素直に評価されるべき『11人の一人』としての貢献。残る課題は“悪辣さ”

難敵ナポリを相手に2-0と勝利を収めたミラン。フル出場した本田圭佑は、地元紙から低い評価を下された。しかし、インザーギ監督の意図を読み取れば、全く別の評価となる。

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

勝利を優先しチームプレーを忠実にこなす

戦術的に機能した本田。素直に評価されるべき『11人の一人』としての貢献。残る課題は“悪辣さ”
フィリッポ・インザーギ監督【写真:Getty Images】

「試合とは、一つのセクションの出来で決まるというものではない。チーム全員が攻守両面で気をつけ、ポゼッション時、あるいはボールのない時の動きを最適に果たしていかなければならない。特に今回のような試合は複雑で、一つのセクションの攻略を考えればいいというものではない」

 14日に行われたミランvsナポリ戦の前日、インザーギ監督はそう力説していた。「ナポリもよく失点するが、彼らのDFについてどう思うか」という質問への回答だったのだが、思えばこれは、自らのチームに向けられた言葉ではなかっただろうか。

 実際、ミランはそのようにして勝った。相手のプレスに押し負けないように守備組織を硬くし、攻撃の起点となりそうなところは逆にプレスで潰す。そして攻撃では、相手の弱点とされるところで逆に起点を作り、チームとして戦術的に攻略した。

 そしてこれを実行するためには、全選手が自分のタスクを理解して、忠実に動く必要があったのだ。「今日は誰が良かったと上げるのは難しい。チームとして勝った試合で、素直に喜びたい」と試合後にインザーギは語ったが、その言葉には実感がこもっていた。

 翻ってこの日の本田に対する評価は、勝利を優先しチームプレーを忠実にこなしたことをどう見るかで変わる。

 確かに10番を背負う身としてゴール前では結果を残せなかったし、地元紙の厳しい批判もその点では明確に筋が通っている。ただ貢献の意味は小さくない。彼が”格上”相手の試合で戦術的に機能し、フル出場で貢献したこと自体、ミラン移籍後初めてだったはずだ。

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