「J2降格」というどん底からの栄光
昇格一年目でのトレブル達成――。
一度はどん底に突き落とされたガンバ大阪は、指揮官と選手の誰もが想像していなかった派手な恰好で、日本サッカー界の表舞台に返り咲いた。
「三冠を獲れたのは三冠を意識せずに戦って来たから。タイトルを意識できないような状況に落ち込んだからこそ、目の前の1試合1試合を勝って行くしかないと思っていた」(宇佐美貴史)
3つのタイトル獲得を果たす上で不可欠だった和製エースの言葉は、優等生ぶっている訳でも何でもない。降格圏から這い上がってきたチーム全体の本音を代弁するものだ。
「信念が一度もぐらつくことはなかったね」
二冠を目前に控えた12月上旬、長谷川健太監督はいつもと変わらない鷹揚な口ぶりで2年間に及んだチーム作りに手応えを口にした。もっともこの信念の人は、三冠を目指し得る絶好調なチーム状態だから余裕を見せていたわけではない。
2年前と同じようにシーズン序盤で波に乗れず、16位で中断前のJ1を終え、短いオフに入る日のことだ。指揮官には焦りではなく、巻き返しに向けた確かな自信がにじみでていた。
「大分、チーム状態は上向いている。後は最後のフィニッシュの部分だけだから」