支配率と結果が反比例するチーム
サッカーにおいて、チームの優劣を測る1つの指標に「ボール支配率」がある。
08-09シーズン、ペップ・グアルディオラが監督に就任したバルセロナは70%を超える支配率を記録し、まるでハーフコートマッチかのごとく敵陣でプレーし続けた。
その唯一無二の強さはそのままスペイン代表にも波及し、ユーロ2008、10年南アW杯、ユーロ2012を制するサッカー史に残る最強チームとなった。
そして現在、そのスタイルはバイエルンに引き継がれ、そのままドイツ代表へと波及した。
その姿を見た世界各国のサッカーファンは憧れを抱き、世界中のメディアがその支配率を称え、多くのサッカーチームはそのプレースタイルを理想に掲げて模倣しようと試みた。
また、多くの選手も憧れを口にした。大枠でいえば、本田圭佑もその1人だろう。
しかし、サッカーは支配率を競う競技ではない。選手の質、キャラクター、指揮官の思想、指導法など、様々な要素が噛み合えば、支配率が低くても強いチームは存在する。そして、そういったチームは支配率が高まれば勝利から遠ざかる傾向にある。
分かりやすい例を挙げれば、香川真司の所属するドルトムントだ。ショートカウンターを武器にドイツでの覇権を争った昨季までの4シーズン、勝利した多くの試合で50%を下回る支配率を記録していた。
ところが、今シーズンは相手が引いてしまうこともあり、支配率が高まって勝利から遠ざかっている。0-1で敗れた先日のヘルタ戦では61%もの支配率となっていた。
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