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天皇杯4回戦、ジェフユナイテッド市原・千葉対北海道コンサドーレ札幌の試合がフクダ電子アリーナで行われ、1-0でホームの千葉が勝利した。敗れはしたものの再三のピンチをビッグセーブで防いだ札幌のGK児玉潤は、自身のこれまでのキャリアを振り返りながら、この試合唯一の失点に悔やみきれない様子を見せた。(取材・文:藤江直人)
J2の千葉に喫した下剋上
なかなか見られない光景だった。1点を追っていた後半のアディショナルタイム。攻めている北海道コンサドーレ札幌の選手が誰も自陣にいない。それまでハーフウェイラインのすぐ後方に陣取っていたゴールキーパーの児玉潤は、試合終了間際にはついに敵陣にまでポジションを上げていた。
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札幌がCKを含めたセットプレーを獲得していたわけではない。マイボール時には11人目のフィールドプレイヤーと化して、利き足の左足から長短のパスを味方へ供給する。身長175cmと今シーズンのJ1で最小兵キーパーとなる児玉が、先発を射止めている理由のひとつがここにあった。
ジェフユナイテッド市原・千葉のホーム、フクダ電子アリーナに乗り込んだ21日の天皇杯ラウンド16。キーパーをはじめてから長い年月をかけて自身の絶対的な武器へと昇華させ、いまでは右足からでも遜色なく発揮できる児玉のビルドアップ能力を駆使してもゴールが遠いまま、札幌は敗退を告げる主審の笛を聞いた。
「難しい時間帯のなかで、自分を含めてシンプルにプレーできなかったことが、ああいった難しい状況下の試合にしてしまった。もっとシンプルに割り切ることも大事だと思いました」
クラブ史上で最高位となる準決勝を戦った2006年度大会以来、18年ぶりとなるベスト8進出を逃した試合後の取材エリア。J2の千葉に喫した下剋上を振り返った児玉は、一時的に安定感を欠き、相手にカットされる場面が続いた前半のビルドアップを、反省を込めながらこう語っている。
「相手のプレスに対するプランをもっと明確にもたなければいけなかった。後半のいい流れのときは逆に相手のプレスを考えて配球できていたので、あのくらいの余裕をゲームの入りから出さないといけなかった」
今シーズンの開幕を、児玉はJ3のY.S.C.C.横浜の守護神として迎えている。リーグ戦で6試合、水戸ホーリーホックとのYBCルヴァンカップの1stラウンド1回戦と計7試合に出場していた3月26日に、札幌への完全移籍が発表された。冬の移籍ウインドーとなる第1登録期間が終わる前日だった。