寸断されたミランの中盤
ジェノア1-0ミラン。しかしこの試合は、スコアほど接戦ではなかった。
確かにミランにもチャンスはあったし、スタッツでは上回っている数字もあった。だからといってミランがジェノアと五分以上に渡り合っていた印象は、ピッチを見る限りはしなかった。彼らが本当にやりたかったプレーは、相手に阻止されていたからだ。
この日ジェノアは、徹底したハイプレスを掛けてきた。ボールを保持するDFにFWやトップ下の選手を一人つけて、パスを限定させるような生易しいものではなく、複数で囲みその場でボールを取りにいくというものだ。
3ボランチのうち1枚を前線に飛び出させて、FWとともにダブルチームで囲む。もちろんその周りの選手にもマークをつけて、極めて高い位置からパスコースを潰して奪い取るという算段である。
これが、ミランの展開を潰した。DFラインやデ・ヨングは粘ってボールを失わないようにはするが、活きた形でのパスは届かない。ボールは繋いでポゼッション率やパスの数を稼いでも、それはジェノアのプレスにより、出したくない方向へと出されたものだ。
そういうわけで、ミランの中盤は寸断された。その結果、右のウイングにいる本田にもパスが届かなくなったのだ。ウディネーゼ戦の前半ではどんどん動いてボールを触れていたが、ジェノア戦ではその前にパスが切られていたのである。
前述の通り、本田の後方にはプレスが掛かる。ボネーラには相手FWが張り付くとともに、周囲の選手へのパスコースもプレスで切られるため、無理に縦パスを出そうと思っても相手に引っかかるか、難しいコースに追い込まれてしまうのだ。