「打ち破る」「乗り越える」という言葉を残した香川
新しい空気と、もどかしさとが交じるゲームだった。
2014年12月10日、欧州チャンピオンズリーグ、グループD第6戦、ドルトムントはホームにアンデルレヒトを迎えた。
ドルトムントの先発メンバーは次のとおり。布陣は4-2-3-1である。
【GK】ラングラク、【DF】右SBドゥルム、右CBスボティッチ、左CBギンター、左SBシュメルツァー、【MF】ボランチにギュンドアンとサヒン、2列目は右からムヒタリアン、香川真司、グロスクロイツ【FW】インモービレ。香川は先発でのスタートとなった。
試合後に香川が「比較的ボールポゼッションも高かった」と振り返ったように、ゲームは総じてドルトムントが支配することとなった。
ドルトムント対アンデルレヒトのボール支配率は、試合終了時で58%対42%である。第6戦を前にして既に敗退が決まっていたベルギー王者は、戦意があまり感じられなく、アイデアの乏しい攻撃に終始した。
香川は試合後に、現在の自身が置かれている「結果が出ない中で、どうしてもナーバスになりつつある状況」に対して、「打ち破る」「乗り越える」といった言葉を残した。香川は、その2つの言葉に象徴されるようなプレーを前半から見せていく。
3分、ムヒタリアンとともに前線へ。ムヒタリアンからのパスを落として、インモービレへ。インモービレのシュートが阻まれたところに、再びムヒタリアンが詰めるが、決め切れず。
7分には、カウンターに右サイドを抜けるムヒタリアンに並走する形で、中央を全力でボックス内へと駆けていく。しかし中央でタイミング良くボールを受けることは出来ない。