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ザック流3-4-3成功のヒントはアズーリにあり。イタリアの3バックはなぜスペイン戦で機能したのか?

PK戦までもつれこむ激戦となったコンフェデ準決勝イタリア対スペイン。惜しくも敗れたイタリアだが、3バックが見事に機能し、スペインを苦しめた。その要因を紐解いていくとザックジャパンの3-4-3のヒントになるカギが隠されていた。

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

スペイン戦で3バックを採用したイタリア

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カシージャスがMOMに選ばれるほどイタリアはチャンスを作った【写真:松岡健三郎】

 準決勝でスペインと対戦したイタリアは0-0のまま延長戦でも決着は付かず、最後はPK戦でファイナル進出を逃した。しかし、昨年のユーロ決勝で4-0と苦杯をなめた相手に120分の中で一度もゴールを割らせず、相手の守護神カシージャスがMOMに選ばれるほど得点チャンスを作った。

 この試合でイタリアのプランデッリ監督が採用したのは3バックだ。守護神ブッフォンの前に並ぶ最終ラインは右からバルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニのユベントス・トリオ、中盤は司令塔のピルロとデ・ロッシ、ウィングバックは右がマッジョで左がジャッケリーニ、バロテッリを欠く前線は「幅広い仕事ができる」と指揮官が評価するジラルディーノの後ろにカンドレーヴァとマルキジオが配置された。

 いわゆる[3-4-2-1]だったのだが、このシステムがなぜ機能したかを語る上で、スペインのシステムとスタイルを抜きにすることはできない。そこで守備と攻撃に分けてポイントを整理したい。

機能的だったサイドでの守備組織

 3バック、とりわけ[3-4-2-1]は中盤にボックスができ、その背後に3人が構える中央に厚みのある布陣だ。スペインは基本布陣が[4-3-3]とされるが、ポゼッションをしながら、左右のウィングも典型的なサイドアタックではなく、かなり徹底して中に入ってくる。

 7人が中央で密接した守備組織を築き、シャビやイニエスタのパスコースを限定しながら、バイタルエリアに侵入しようとする選手を徹底的にチェックする。アウトサイドのマッジョとジャッケリーニはスペインのSBを監視する。1トップのジラルディーノはスペインの攻撃方向を限定しながら、中盤から後ろの守備をボールサイドに導く役割を全うする。

 3バックでもザッケローニ監督が日本代表で用いる[3-4-3]と違うのは、スペインのSBが高い位置に上がってきた時には両ウィングバックが明確に引いて5バックを形成してしまうことだ。特に左のジョルディ・アルバはスペインの中では縦に仕掛ける志向が強く、彼が上がろうとしたところでマッジョが厳しく付いた。

 シルバやペドロが前線のワイドでボールを持とうとする場合は3バックの左右のCBが開き、デ・ロッシが下がり気味にポジションを取るが、例外的なケースだ。基本的には3バックが中央でステイしていれば、スペインの選手は最後のアクセントをバイタルエリアで付けようとしてくるため、そこで守備の人数を確保し、パスをカットする、あるいは受け手の自由を奪うことが重要になる。

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