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理学療法士としてサッカー選手の身体作りを研究してきた三浦哲哉は、トップ選手は共通して「基礎体力」が高いと言う。自著『サッカーフィジカルのプレーモデル』で記した理論を軸に、U-23日本代表としてパリオリンピックを戦う平河悠と藤田譲瑠チマのプレー動作の特徴を「基礎体力」の視点から解説してもらった。(文:水野裕介)
平河悠の身体はスペイン代表FWと似ている
海外で活躍する日本人選手には共通して高い「基礎体力」がある。三浦哲哉曰く、この夏に海外移籍が決まった平河悠も基礎体力が高い選手の1人。「相手とのコンタクトがあってもバランスを崩さないドリブル」と「初速の速さ」に平河の特徴があると言う。
「相手とのコンタクトでバランスを崩さないためには、上半身の姿勢が大きく影響してきます。背骨のS字カーブに加えて、“コア・ユニット”と呼ばれる体幹の深層にある筋肉と、それを取り囲む腹から腰回り、下腹部の筋肉が発達していることが必要です」
平河はまさにそのような身体つきなのだ。移籍先のブリストル・シティFCでのメディカルチェックの映像を見てほしい。
【動画】平河悠 ブリストル・シティFCでのメディカルチェック
「下腹部の筋肉が発達して、へその下がボコっと前に出た姿勢になります。これは育成年代から下腹部の筋肉をうまく使ってプレーしている証拠です。下腹部はコア・ユニットの中でも上半身の姿勢の保持や脚の動きをコントロールする上で特に重要なんです」
誰しもが一度は見たことがあるのではないだろうか。試合終了後のユニフォーム交換をする際に見せる選手たちの逞しい上半身。厚い胸板、太い上腕二頭筋、シックスパックの腹筋、トップ選手にはどれも必要なものだが、今後は下腹部も少し注目して見てみるのもいいかもしれない。
EURO2024(ユーロ2024)でスペイン代表の優勝に大きく貢献した両翼のラミン・ヤマル、ニコ・ウィリアムズなども身体の線は細くみえるかもしれないが、非常に発達した下腹部で自重をコントロールすることで、全身が連動したしなやかで力強いドリブルを可能にしている。