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もう2度と――。どん底を知る男、クロップ。マインツでの降格経験がドルトムントを救うか

ドルトムントが残留争いのど真ん中に沈んでいる。かつてはリーグ連覇に導いたクロップ監督だが、マインツ時代には同じく降格を喫している。その経験がチームを救うのだろうか。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

チーム最低タイとなる「6」

 ユルゲン・クロップは1度、指揮官としての降格を経験している。

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ユルゲン・クロップは1度、指揮官としての降格を経験している【写真:Getty Images】

 2014年12月3日付のシュポルトビルト紙の表紙を飾ったのは、ドルトムントの指揮官である。同紙は「ドルトムントの降格は既にあり得るのか?」という見出しを掲載した。

「最下位! 指揮官クロップは巨大な危機において、どの程度の責任があるのか?」として、前節フランクフルトに敗れたことで、ブンデスリーガで最下位の18位に沈んだドルトムントの特集を組んだ。

 不調の原因を追求し続ける特集も終わりに差し掛かろうとする頃、「当時マインツではどうだったのか?」という問いが記載される。

 シュポルトビルト紙:「FSVマインツでの8シーズンでクロップはまた英雄だった。ファンは彼を愛した。選手は彼をリスペクトした。ボスたちともに結託したチームを形作った―現在のBVBのように」

 同紙はクロップが監督としてのキャリアをスタートしたマインツ時代について言及している。

 2006-07シーズンの終わり、クロップとマインツは降格した。降格の年、クロップはとりわけチーム精神に載って、繰り返し繰り返し短いキャンプに突入し、選手達を団結させるよう促すなど、シュポルトビルトの紙面からは、その懸命な様が伝わって来る。

 同紙によれば、指揮官への「唯一の批判」は、しばしばビデオ分析であまりに検討し過ぎたこと、とのことである。そして08年にクロップはBVBにやってきた。

 最下位が確定したフランクフルトでの敗戦の後で、クロップは「責任がある」と口にした。辞任は考えていない、責任は大きい、と。それは1度降格を経験したが故の言葉だったのかもしれない。

 もちろんチームは監督の私物ではないが、2度と自分のチームを降格させる訳にはいかない、といったような。

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