マークを跳ね返して自らのプレースタイルを貫く
30日のミランvsウディネーゼ戦でファウルを誘いPKはゲットしたものの、自身のゴールまでは決められなかった本田圭祐。ただこの日のプレイには、正直驚かされた。
不見識を詫びなければならない。ウディネーゼ戦のプレビューで「右サイドからチャンスを作るのは難しいだろう」と書いたからだ。
だが蓋を開けてみれば、本田は厳しいマークを振り切った上で、ピッチの内側と外側で巧みに連係を築いてチャンスを作った。ノーゴールのきっかけとなったフィオレンティーナ戦以降のプレイ内容からは、この姿は予想できなかった。
フィオレンティーナはマルコス・アロンソを付け、パレルモはウイングバックのラザールと3バックの左を務めるアンデルコビッチを交互にスイッチさせながら、本田のプレーディスタンスを消した。
彼がボールを持ったところに張り付いて、プレイを遅らせて味方に囲ませる。パスコースは消され、しかもメネズを筆頭に個人技に走る状況では、連係で崩すタイプの本田はますます孤立する。これが、今までのチームが敷いてきた本田封じの方法論である。
ウディネーゼのストラマッチョーニ監督も、やはり同様の対策を考えていたのだろう。右の本田には、屈強なドミッツィを付けてくる。4バックになった関係でサイドバックを務めたが、3バックの場合は3CBの一角としてプレイする、当たりに強くスペースへのケアも上手い選手だ。
ところがこの日の本田は、守備の網につかまる前にこれを翻弄した。フェイクを織り交ぜながら裏を取り、縦のスペースへと走り抜けパスを呼ぶ。また周囲の落としたボールにもいち早く反応し、スペースに出てクイックにパスをさばく。
今までとは違い、周囲の選手は絶妙な距離感を保ってサポートに入るから、パスもよく回った。27分にはヒールパスでダイレクトに展開を切り開いたシーンがあったが、「周囲がちゃんと詰めている」という安心感があったからこそできたプレイだろう。