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Jリーグ 2か月前

成功の布石。湘南ベルマーレは機能不全をすべて解決した。降格圏に沈んだ「これまで」からの変化とは【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by Nobuya Akazawa|J1全部見るマン photo by Getty Images

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 第21節終了時点で降格圏の19位に沈んでいた湘南ベルマーレが、3連勝で残留圏内に浮上した。それまで3勝しかできていなかったチームは、いかにして生まれ変わることができたのか。今季の明治安田J1リーグ全試合を見る筆者が、戦術的な分析からその変化を解き明かしていく。(文:Nobuya Akazawa | J1全部見るマン)


「迎撃」と「回収」の湘南ベルマーレ

湘南ベルマーレ
【写真:Getty Images】

 ハイプレスとショートカウンター、ダイレクトアタックを押し出し、圧倒的な迫力で熱狂を巻き起こすチーム。それが湘南ベルマーレだ。

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 しかし今季は空回りする試合も多く、ネガティブトランジションが機能しない場面も多くあった。しかしここにきて調子を上げ、7月を無敗で終えた。これはもがき苦しみ、そして確実に手にしたものがあるからこその結果で、内容が伴っていることの証でもあるだろう。ここから巻き返しを図る湘南の今までと現在地について考えていこう。

 湘南を支えているのはダイレクトアタックとハイプレス+ショートカウンターだ。ハイプレスを仕掛ける場合、[5-3-2]で向かっていく形が基本形だ。2トップで中央を消しながら、インサイドハーフ(IH)がサイドバック(SB)へ向かっていく。ここから縦に急かすようにして相手のサイドハーフ(SH)やウイング(WG)でボールを奪う形を作り出す。相手のビルドアップに制限をかけ、迎撃を作り出すためのプレッシングの熱量と活動量はJ屈指のものだ。

 また3センターバック(CB)も前方への対応に滅法強い選手が揃っており、[5-3-2]の2ndプレス隊と1stプレス隊の圧力と制限によって蹴らせて回収という考えも持ち合わせている。中央を経由させないようにするための3-2で向かっていくハイプレスの形はゾーンからマンツーマンへ移行するスムーズさも持ち合わせている。

 だからこそ、迎撃と蹴らせて回収が可能になっている。

 攻撃の局面では最短距離でダイレクトにゴールに向かっていくことを選択するため、攻撃の多くは速さを優先する。縦へ!縦へ!と進んでいくため、センターフォワード(CF)の裏抜けとIHとウイングバック(以下WB)の裏抜けのサポートとネガティブトランジションの適応が必須となる。特にネガティブトランジションのところで前向きに対応したときの回収率(ゲーゲンプレス)とショートカウンターはハイプレスと同様に湘南を支えている。

 これらを完全に押し出したときの湘南は猛威を振るっているのは間違いない。

 しかし今季はプレスが空転することもあり、またネガティブトランジションが効かない試合が多かった。

 その理由はどこにあるのか。まずはこれを考えていこう。

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