苦いシーズンを未来への糧に
徳島ヴォルティスのJ2降格が決まってから1ヶ月が経過した。シーズンが始まる前から厳しい戦いが予想されており、降格という事実は受け止めるしかないのだが、J1という日本サッカーの最高峰で過ごしたこの1年は決して無駄なものではなかったはずだ。
むしろ、この経験は徳島というクラブが今後も発展していくためには必要な“痛み”だった。
開幕戦でサガン鳥栖に0-5の大敗を喫し、いきなり出鼻を挫かれると、そこから9連敗と苦しい日々を過ごした。守備に大半の時間を削られ、攻撃に出ても跳ね返されてしまう。戦力的に見ても妥当な結果だったかもしれないが、クラブに関わる誰もが悔しい気持ちを抱えていたに違いない。
劣勢の試合はシーズンを通して続いているが、何もせずに敗れてきたわけではない。ホーム&アウェイで同じ相手と2度戦う中で、後半戦は成長した姿を相手にも見せる場でもあった。
複数失点を食らう試合が多いのは事実だが、前節の鳥栖戦は敗れたものの0-1という最少失点で試合を終えた。
負けたら何点取られても同じ、という意見もあるかもしれない。だが、試合の内容や、選手たちがどれだけ戦ったかという視点は見逃してはならない。
個々の能力で劣るならチームとしていかにハードワークできるかが鍵となるが、その点、このチームに怠慢は見られない。厳然たる実力差に直面しながら、折れずにプレーしているのだ。
来シーズンは再びJ2での戦いとなる。J1とは違う厳しさや難しさがJ2にはあるが、この1年で得たものを活かさなければならない。
四国初のJ1昇格クラブとして歴史に名を残した徳島。これからもクラブは、奥の人たちに支えられて存在し続けるだろう。
次回J1の舞台に立つその日に向けて、徳島は成長していく。そのための糧をひとつでも多く積み上げるためにも、残り2試合、全力で戦い抜いてほしい。