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　明治安田J1リーグの第22節、浦和レッズ対湘南ベルマーレの試合が7月6日に浦和駒場スタジアムで行われ、終了間際の劇的な展開でアウェイの湘南が2−3で勝利した。19歳の誕生日前日に貴重な同点弾をあげた石井久継は、家族や亡き友の思いも背負ってピッチに立っている。（取材・文：藤江直人）

石井久継が大事にしてきたキングカズの名言

【写真：Getty Images】

　小学生のときに感銘を受けた金言が、時空を超えて蘇ってくる。岡山県倉敷市で生まれ育った湘南ベルマーレのアカデミー出身のルーキー、石井久継は一風変わった日めくりのカレンダーを愛用していた。

　ペットのハムスターに「クリロナ」と名づけるほど、サッカーが大好きだった少年はポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドの他にもう一人、いまも憧憬の思いを抱く現役のフォワードがいる。

　石井が毎日目にしていたカレンダーには、キングカズの愛称で知られる三浦知良が残してきた名言の数々が綴られていた。そのひとつが「努力を信じたいし、努力に比重を置きたい」だった。

　時は流れて2024年7月6日。敵地・浦和駒場スタジアムに乗り込んだ、浦和レッズとのJ1リーグ第22節が後半アディショナルタイムに突入する直前の90分に、石井はカズの言葉をあらためてかみしめた。