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日本代表 10年前

流れ変えたのは評価できるが――。浸透しない“アギーレ流”。豪州戦、布陣変更で見えた課題

日本が2-1でオーストラリアを下した試合。ポイントになったのはアギーレ監督によるフォーメーション変更だ。この采配をポジティブ・ネガティブ、両面から分析する。

text by 西部謙司 photo by Getty Images

フォーメーション変更を両面からみてみる

流れ変えたのは評価できるが――。浸透しない“アギーレ流”。豪州戦、布陣変更で見えた課題
フォーメーション変更がターニングポイントだった【写真:Getty Images】

 前半35分あたり、アギーレ監督がテクニカルエリアで指示を出す。そこから日本のフォーメーションは4-1-2-3から4-2-3-1に変わり、ゲームの流れも変わった。後半は一方的に近い展開となり、2-1で勝利している。フォーメーション変更がターニングポイントだった。

 采配が当たり、試合の流れが一変して勝利したのだから、本来なら文句を言う筋合いはない。だが、この件をネガティブにとらえることもできる。今回は、この采配に焦点を当て、ポジティブとネガティブの両面からチェックしてみよう。

 まず、良かったのはフォーメーションを変えて相手の勢いを止めることができたことだ。

 ブラジルW杯ではこれができなかった。緒戦のコートジボワール戦、相手にボールを握られても日本は手を打たず、やがて自分たちがボールを支配できる時間が来ると信じて待つような試合ぶりだった。

 フォーメーションは攻撃しているチームのもので、ボールを支配されたら相手に合わせるしかないのだが、あのときの日本は自分たちが主導権を握る展開しか考えていなかったといっていい。

 今回は、オーストラリアにフォーメーションを合わせ、まずは相手のパスワークを制限するところから手をつけた。すると、オーストラリアのビルドアップが上手く回らなくなると同時に、今度は日本のパスがつながり、選手間の距離も縮まり、したがってボールを失ったときもプレスのかかりがよくなった。

 それまでは選手間の距離が遠く、縦への長いパスは相手にカットされ、カットされたときは間延びしてプレスがかからず、そのうえマッチアップがズレているのでビルドアップも制限できなかった。この悪循環を好循環に変えられたのは進歩である。

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