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フランスサッカー界を揺るがせた「所得税75%」
水は、高い所から低い所へ流れる。
フランスでは、高額所得者(個人)に対する所得税率が、それまでの45%から一気に75%に引き上げられた。
標的とされたのは、大企業のオーナーや経営幹部に加え、プロサッカー選手も、である。
そのため、2012年にこの法案が議会に提出されたときには、米経済通信『ブルームバーグ』は、リーグアン幹部のなかからは、「リーグ全体で8200万ユーロ(約112億円)もの新たな負担が強いられる」という嘆き節もあったとしている。
ただし、その後、内容が修正され、13年と14年の時限措置として施行されたのは、所得税に加え、地方税や社会保障費などを合わせた合計額で75%というもの。
しかし、フランス国内の富裕層たちは、黙ってはいなかった。例えば、個人資産が3兆円超とも言われているルイ・ヴィトンの最高経営責任者ベルナール・アルノーがベルギーに移住したのをはじめ、著名俳優のジェラール・ドパルデューも同様、ベルギーに移住後、13年1月にはロシア国籍を取得するなど、フランス政権に対して徹底抗戦の構えを見せた。
一方、ハメス・ロドリゲスやラダメル・ファルカオが昨季を過ごし、ジョアン・モウティーニョが今季もプレー中のASモナコは、フランス・リーグアンに所属。
そのモナコがあるモナコ公国には、基本的には、所得税は存在しない。だが、フランスリーグ(LFP)に参戦しているモナコに限っていうと、2013年中までは存在しなかった。
つまり、同じLFPでありながら、モナコは、13年から施行された税制改正の騒ぎを当初、対岸の火事として高みの見物ができたというわけだ。
欧州で公開される選手の『年俸』は、『手取り』のことで、日本のように税金は含まれない。所得税は、すべてクラブが負担しているからだ。