定まっていないアギーレジャパンのCF
「勝ちに行く試合」とアギーレ監督が明確に位置づけた14日のホンジュラス戦(豊田)と18日のオーストラリア戦(長居)に向け、6人の選手がアギーレジャパン初招集となった。みな“ザックジャパン”経験者で計算できる選手であることが、アジアカップに向けた本番モードを印象づけるが、豊田陽平(鳥栖)の選出は戦術面でも重要な意味を持つ。
「彼は違ったものを代表に持ち込んでくれると期待して招集した。豊田はパワフルで空中戦に強い。岡崎とは違った特徴があり、違った攻撃ができ、代表の攻撃がより豊富になる」
そう語ったアギーレ監督はJ1で15得点という結果を残していることも評価するが、戦術面の効果を高く期待しているのは明白だ。9月の2試合ではブラジルW杯経験者の大迫勇也と皆川佑介がCF(センターフォワード)の候補として選ばれたが、その時点では指揮官が満足するパフォーマンスを見せられなかった。
10月の連戦は194cmのハーフナー・マイクが呼ばれたが起用されず。2試合続けてCFで起用された岡崎慎司はジャマイカの屈強なCB(センターバック)を相手に奮戦し、惜しいシュートを放つなどしたが、マークを背負いながらボールをおさめ、クロスの明確なターゲットになるタイプではない。
特に引いた相手に対して、前線でターゲットになり、かつゴール前に迫力をもたらせる選手は大きな力になる。ただ、アギーレ監督がこれまで率いたクラブでCFを担った選手の傾向に照らし合わせても、単にパワフルで空中戦に強いだけでは重用されない。豊田の場合、大柄な割に機動力が高く、前線で幅広く起点になれることも評価のポイントだ。
豊田を起用する場合、より効果を発揮するのはSB(サイドバック)の攻撃参加だ。ザッケローニ時代より速攻が主体となり、SBが高い位置から前線に絡んでクロスを上げるシチュエーションは難しくなったが、アーリー気味に前線のターゲットを狙える場面は多い。
そこで前線に豊田がいれば、そこに当てることもできるし、彼が守備を引き付けたスペースに岡崎、武藤といった選手が飛び込んで合わせる形もより有効になる。