弱小クラブをたった3年間で強豪チームへ
この夏、柏レイソルに所属していた田中順也が移籍し、日本でも一躍有名となったポルトガルの古豪スポルティング。日本の方々がその試合を観戦する機会も増えたに違いない。
しかし、お目当ての日本人フォワードはベンチにすら入っていない状況が続いており、多くのファンが肩を落としていることだろう。
そんな興味を削ぎかねないスポルティングベンチを映す画面に目を向けたとき、多くの田中順也ファンは、眼前に広がる映像に驚愕したのではないだろうか。このベンチ前にたたずむ男前はいったい何者なのか!? と。
スポルティングを率いる、その名もマルコ・アレクサンドレ・サライバ・ダ・シウバ。37歳。
その風貌だけにとどまらず、ポルトガルリーグでNo.1を争う実力者であるのだから、注目を浴びないはずがない。ジョゼ・モウリーニョやアンドレ・ビラス・ボアスら世界レベルのポルトガル人監督たちと並んで称される、次世代の名将候補である。
ポルト、ベンフィカ、スポルティングの「3強」以外のチームがリーグの優勝候補になることはあり得ないとされているポルトガルにおいて、マルコ・シウバが与えた衝撃は大きい。
マルコは、モウリーニョがポルトを去った翌年の2005-06シーズンに、選手として、万年2部の弱小クラブであるエストリルへ入団した。そして、ビラス・ボアスがポルトで今もなお色あせない偉大な歴史を築いた2010-11に、エストリルで選手としてのキャリアに終止符を打った。
選手としては平凡だった彼には、監督としての並外れた才能があることを世間が知ったのは、その翌年のことであった。
2011-12シーズンにそのまま同クラブの監督に就任した彼は、監督歴初年度にもかかわらず、チームを2部優勝へと導いた。そして2年目の翌年、初挑戦となった1部では、将来率いることになるとは思わなかったであろうスポルティングを上回るリーグ5位の好成績を残し、3強の牙城を崩したのだ。