香川トップ下の意図は?
W杯出場を既に決めている日本にとっては消化試合となったイラク戦。だが、その先に控えるコンフェデレーションズカップを見据えると、連携面の強化、そしてこれまでサブだったメンバーを入れることで、新たなオプションを探るという意味でも重要な一戦となった。
4日のオーストラリア戦から、日本は5人を入れ替えた。センターバックは吉田麻也を伊野波雅彦に、右サイドバックは内田篤人を酒井宏樹に、ボランチは長谷部誠を細貝萌に、左サイドハーフに清武弘嗣を入れ、香川真司をトップ下に(本田圭佑はベンチ)、1トップは前田遼一をハーフナー・マイクに替えた。
この試合、やはりポイントは香川のトップ下起用にある。背番号10をこの位置で使う意図は、本田の代わりを求めているためではない。なぜなら本田と香川はまったく違うタイプの選手であり、起用される位置は同じでも役割は異なるからだ。
本田はどっしりと構えてボールを収めることができる。そこから卓越したキープ力でDFを引きつけ、味方を動きやすくする。ポゼッション率を高めてパスワークで攻撃を組み立てる。
一方、香川は本田のようなプレーはできない。その代わりに、縦へのスピード、素早い展開力に優れている。つまり、速攻に向いた選手と言える。ドルトムント時代のように縦への素早い展開を期待されている。
ザックジャパンはこのところ、攻めながら得点を奪えないもどかしい試合が続いている。原因はさまざまだが、その1つが緩急がないこと。それ故にこの試合では、遅攻ばかりでなく、速攻への意識付けを図ったのだ。
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