「近すぎず遠すぎずいい距離感」
絶望の中にわずかな希望が見えた。
2014年10月28日、ドイツ・カップ2回戦、ドルトムントはアウェイでブンデスリーガ2部のザンクトパウリと戦う。
ザンクトパウリ戦でのドルトムントの先発メンバーは次のとおり。布陣は4-3-2-1である。
【GK】ランゲラク、【DF】右SBソクラティス、右CBスボティッチ、左CBフンメルス、左SBドゥルム、【MF】ボランチにケール、左インサイドハーフにグロスクロイツ、同じく右にムヒタリヤン、ロイスと香川のツー・シャドー、【FW】インモービレ。香川は先発に名を連ねる。
香川が「今本当に一歩ずつ修正しながら作り上げていければいい」と言うように、ザンクトパウリを相手にドルトムントは今季初めてと言える4-3-2-1という全く新しい試みを行なう。中でも特徴的だったのは、香川とロイスのツー・シャドーである。
香川とロイスは「近すぎず遠すぎずいい距離感で」ドルトムントの攻撃の中心となった。2人はポジションチェンジを繰り返し、ときには同サイドでプレーする。チャンスを作り出しながら、また果敢にゴール前へと飛び出した。
後方にムヒタリヤンとグロスクロイツという、馬力があってドリブルでボールを前に運ぶことの出来る選手が置かれたこともまた、インモービレのワントップと2シャドーをよりゴールに近いところでプレーさせることに成功した。
33分にその新しい試みは形となる。香川、ロイス、グロスクロイツの3人による精緻なパス交換で左サイドを崩すと、ゴールへと向かった香川にグロスクロイツが折り返す。
香川が「体勢が悪かったのでなんとか枠に飛ばそうと」したボールをインモービレが押し込んで、ドルトムントが先制に成功する。