ザック発言で広まった“インテンシティ”
日本語圏のインターネット空間において、2013年5月以前に『インテンシティ』が最も多く使われたタイミングはどうやら2005年11月であるようだ。
グーグル・トレンドでインテンシティと検索してみただけの結果なのだが、どういう経緯で多く検索されたのかは定かでない。村上龍氏の『フィジカル・インテンシティ』という一連の著書が発表されたのはいずれも2002年より前のことであり、この件には関係なさそう。そして、それ以後も2013年5月までそれほど大きな伸びはないようだ。
この5月で大きく伸びている理由は、やはり5月23日に行われたブルガリア戦・豪州戦メンバー発表会見でアルベルト・ザッケローニ監督がインテンシティという言葉を使ってからだろう。
多くのメディアだけでなくtwitterなどSNSを見ていても、バズワードとしてインテンシティという単語が使われているのを確認できる。そして、その単語が確固たる実態を伴うものだという前提で使われているように思う。
本当にそうなのかどうか、筆者はかなり気になっていた。そこで、信頼を寄せるスペイン・バルセロナのUEコルネージャ・コーチである坪井健太郎氏に話を伺った。以前から坪井氏、そして氏を紹介いただいた小澤一郎氏の発言を見聞きしているので驚きはなかったが、改めてインテンシティという言葉の危うさを確認することができた。
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