サッカー日本代表 最新ニュース
サッカー日本代表は17日、キリンチャレンジカップ2023でチュニジア代表と対戦し、2-0で勝利した。海外組も含めたフルメンバーとして初めて出場した鈴木彩艶は、数少ないプレー機会の中で存在感を示した。「まだまだ自分は劣っている」と言いつつ、「夢」への確かな一歩を冷静に振り返っていた。(取材・文:藤江直人)
場内が凍り付いた“空振り”。何が起きたのか?
試合を通して最も大きな注目を集めたのは、自分の強みとしていたクロスへの積極果敢なアタックでも、味方のチャンスの起点になるキックでも、ましてや豪快なシュートストップでもなかった。
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後半アディショナルタイムの91分。チュニジア代表のロングボールが日本から見て左サイドに弾み、余裕を持ってボールに追いついたセンターバックの冨安健洋が、バックパスを選択した直後だった。
チュニジア代表FWハイセム・ジュイニが必死に間を詰めてきた状況で、日本のゴールマウスを任されていた鈴木彩艶は前へ飛び出してバックパスを蹴り出すプレーを選択した。ジュイニの存在を考えればもちろん間違いではなかった。しかし、肝心の彩艶の右足はボールをとらえられなかった。
まさかの“空振り”に、ノエビアスタジアム神戸に悲鳴にも近い歓声が沸き上がる。スライディングした鈴木を飛び上がってよけたジュイニの反応がわずかに遅れたのと、ジュイニの背後にいたもう一人のセンターバック、谷口彰悟のカバーリングであわやの場面は何とか事なきを得た。
しかし、ピッチ上が凍りついたのは間違いない。いったい何が起こっていたのか。
「相手の選手が来ていたので、ボールを(自分から見て)左に要求していたんですけど。思ったよりも右に速いボールで来たので、相手に先に触られないように前に出て対応したなかで、ボールのスピードとうまく合わせられなかった。それでボールに触れられなかったんですけど」
ピッチ上で起こっていた状況を正確に再現しながら、それでも彩艶は努めて前を向いた。
「下がっていたら逆に相手に取られていたと思うので、ポジティブなミスだと自分はとらえています」