【後編はこちらから】 | 【フットボールサミット第8回】掲載
栗原勇蔵「男気を感じる」
2010年南アフリカワールドカップで2ゴールを挙げてベスト16進出の原動力となり、2011年アジアカップ(カタール)でMVPに輝いた本田圭佑。彼は今やザックジャパンに不可欠な存在だ。本田が右ひざ半月板損傷で長期離脱を強いられた2014年ブラジルワールドカップアジア3次予選で日本が大苦戦したことも見ても、その影響力は絶大である。
2012年6月の最終予選3連戦で完全復活を印象づけた本田と3週間代表でともに過ごした選手たちも、彼がいる心強さを痛感している。
チーム最年長の遠藤保仁(G大阪)が「圭佑は全部できる選手。前でタメができるし、2列目、3列目が上がっていきやすくなる。非常に重要な選手」と語ったように、先輩後輩にかかわらず、多くの選手が本田に一目置いているのだ。
その筆頭といえるのが、栗原勇蔵(横浜FM)だろう。最終予選を控えた重要なテストマッチだった5月のアゼルバイジャン戦(エコパ)直前に背番号4を本田に譲った話は広く知られている。
その経緯を、彼は改めてこう打ち明ける。「本田が『3か4がいいな』と言い出したんだよね。『守備的な番号だけど、攻撃的な選手がつけたら目立つし、好きな番号だからつけてみたい』って向こうから話してきたから、まあいいんじゃないかと思って『どうぞ』と言った。
自分はマリノスでも4番だし、代表の4番は多少しっくりきていたけど、正直、そこまで強い思い入れはなかった。代表の4番っていうと、いまだに井原(正巳=柏ヘッドコーチ)さんのイメージが強かったりするでしょ。そういう意味で自分の番号って意識もなかったし、実際にこれだけ話題になって、代表が盛り上がったのはよかったと思っているよ」
栗原は本田より3つ年上で、日本代表に初招集されたのも2006年と早い。だが、自分より後に代表入りしたにもかかわらず、瞬く間に大黒柱になった彼の姿を見て、後輩ながら感じ入る部分が多々あったという。
「俺が見る限りでは、かなりメンタルが強いと思う。年下だけどすごいオーラがあるし、つねに先のことを考えているからすごい。もともと自信家なんだろうけど、大舞台で結果を出し続けてきているし、それが重なってああいうオーラになっているのかな。周りのことを引っ張っていっているし、味方に自信もつけさせてくれる。
しかも、普段はよく喋るのに、マスコミとか公の場ではあまりいろいろ言わない。そういう部分にも男気を感じるよね。彼らの世代はお調子者が多いけど、本田はやっぱり男から見ても憧れるし、カッコよさがあるよ」と栗原は語る。