フットボール批評オンライン特集記事
スペイン・バスク地方出身のミケル・アルテタは、個性豊かな指揮官たちの下でプレーし、多士済々の欧州サッカーで輝かしい実績を残した。現在アーセナルを率いるアルテタの指導者としてのルーツはどこにあるのか。アーセナルの監督に就任するまでのキャリアを振り返る。※2020年9月7日発売の『フットボール批評issue29』を一部抜粋して再編集した。(文:結城康平)
フットボール批評オンラインとは…
2023年3月をもって休刊した季刊誌『フットボール批評』は、『フットボール批評オンライン』としてWEBで発信を続けることになりました。有料記事を中心(一部無料)に定期的に密度の濃い記事をアップしていきます。
過去の記事はこちら
<フットボール批評オンライン 記事一覧>
ピッチ内の「将軍」
静かなる天才は、世界屈指の美食の街と名高いバスク地方のサン・セバスチャンで産声を上げる。文化の混ざり合うバスク地方は多くの優秀なフットボール選手を輩出しており、ミケル・アルテタもその1人だ。
地元のクラブであるアンティゴコに加入すると、世界屈指のフットボーラーに成長するシャビ・アロンソと出会う。小さなクラブで出会った2人の少年は、その知性をピッチの上で発揮。欧州屈指のMFとして知られるようになる2人が浜辺で日が暮れるまでボールを蹴り合っていた事実は、まるで映画の脚本のようだ。
共に世界を制することを夢見た少年たちだったが、その才能が彼らを引き裂くことになる。FCバルセロナからのオファーを受けたアルテタは国内屈指の強豪に移籍し、シャビ・アロンソは幼少時から夢見たレアル・ソシエダに加入。その後のキャリアはあえて語るまでもないが、2人は欧州屈指のリーグを渡り歩いた。
アロンソが指導者の道を歩み始めていることも運命の悪戯だが、アルテタは指導者として彼の一歩先を進んでいる。選手としてはレアル・マドリーやバイエルン・ミュンヘンで活躍したアロンソが上かもしれないが、指導者としてのポテンシャルは拮抗。2人は歴戦の猛者である多くの名将のチームを経験する中で、ピッチ内の『将軍』としてフットボールを学んできた。