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Jリーグ 2年前

「J2低迷」レノファ山口、モンテディオ山形、徳島ヴォルティスの共通点。問われる「率」と上位陣の共通点【Jの十字架】

シリーズ:Jの十字架 text by 庄司悟

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ゴールデンウィークをもって、明治安田生命J2リーグは14節までを終えている。FC町田ゼルビアは黒田剛監督の下で首位を走る一方、徳島ヴォルティスなどは浮上のきっかけを掴めずに下位に低迷している。十人十色のJ2戦線を“異端のアナリスト”庄司悟氏が「十字架」を用いて解き明かしていく。(文:庄司悟)



上位陣はJ1と同じ傾向? 下位に沈む3チームの共通点は?


【図1:2023年J2第14節までの十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率)】

 今回は14節を消化したJ2の傾向を十字架で表していく。まずはJ1同様に、縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率の十字架(図1)を見てもらいたい。J2もJ1と同じように、パスと支配率にさしてこだわりのない左下の「非優等生」組に首位チーム(FC町田ゼルビア)がいる。町田の近くにはV・ファーレン長崎(4位)、ヴァンフォーレ甲府(6位)、ほぼ左下のザスパクサツ群馬(5位)、の上位組が顔を出しており、J2も「ヴィッセル神戸、名古屋グランパス、サンフレッチェ広島型」が躍動していると言っていい。

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 それ以外の傾向を探るべく、さまざまな十字架を作ったところ、J2の上位チームには以下の傾向も浮かんできた。縦軸=失点率×横軸=ボール支配率では、これもJ1同様に「支配率<失点率」の傾向が明らかであった。さらに、縦軸=被シュート数×横軸=シュート数では、「シュートを打つよりも、シュートを打たれない」、縦軸=失点率×横軸=被シュート数では、「シュートを打たれても、失点しない」という傾向が見て取れた。2006年のドイツ・ワールドカップのように、打たれても失点しないイタリア型と、そもそも打たせないフランス型に分類できるかと思いきや、さしたる濃淡はついていない。


【図2:2023年J2第14節までの十字架(縦軸=得点率×横軸=シュート数)】

 一方で、傾向がはっきり出たのは縦軸=得点率×横軸=シュート数の十字架(図2)であった。上位6チームが、「シュート数が少なく得点率が高い」左上に見事に収まっている。J2は得点率が問われるリーグといっても差し支えないだろう。逆に、図1では右上にいたレノファ山口FC、モンテディオ山形、徳島ヴォルティスは「シュート数が少なく得点率も低い」左下にいる。蝶のように舞っていながら、蜂のように刺せなければ、現在の低迷ぶりも致し方なし、といったところか……。

(文:庄司悟)

庄司悟(しょうじ・さとる)

1952年1月20日生まれ、東京都出身。1974年の西ドイツ・ワールドカップを現地で観戦し1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのデータ配信会社『IMPIRE』(現『Sportec Solutions』。ブンデスリーガの公式データ、VARを担当)と提携し、ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSをもとに分析活動を開始。著書に『サッカーは「システム」では勝てない データがもたらす新戦略時代』(ベスト新書)、『現代フットボールの主旋律 ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す』(カンゼン)。

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