相手の徹底マークにも力でねじ伏せた本田
エンポリ戦の最初の20分間、セットプレーから2点を失う体たらく。そこから同点に持ち込んで良しとはしたものの、ビッグクラブとしては最低限の仕事を果たしたに過ぎない。ただ、エンポリは強かった。
ミランに引くサッカーはせず、中盤から積極的にプレスを掛け、コンパクトなパスサッカーを仕掛けた。得点を決めたトネッリと、来季からのユーベ行きが内定しているU-21代表ルガーニは、トーレスやメネズを相手にしながらラインを高くキープ。そのバックアップのもとで、中盤はタフに走り回った。
レジスタのバルディフィオーリ、そして32歳のクローチェもセリエA初挑戦。それをここまで機能させた、脱サラ監督サッリの手腕は恐れ入る。レベルが低下したとはいえ、下部カテゴリーからこういった猛者が突然出てくるのが、カルチョの世界の恐ろしいところである。
つまりミランにとって、また本田にとっても、決して簡単な試合ではなかったのである。
おそらくユーベ戦を研究したのだろう、アバーテを攻撃的マリオ・ルイのオーバーラップで押し込む傍ら、中盤に降りてボールを触ろうとする本田にはクローチェを張り付かせ個人技を封じた。コンパクトに保たれた布陣の元で守備の連係も取り易く、スペースはなかなか与えられなかった。
後半、本田が力でそこをねじ伏せたことは評価して良いだろう。昨季ならチャージに競り負け、ボールロストをロストしカウンターで持って行かれたところでも粘り強く耐え、トーレスが動いてDFラインを押し下げれば、空いたスペースを見抜いてシュートを決める。
さらに繊細なパスでアバーテを走らせ、マリオ・ルイを逆に翻弄。中2日ではあったが、90分間精力的にこのエリアを動きまくった。