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擁護派多い現実が物語る“レアルの象徴”の弱体化。“聖域”カシージャスが迎えるかつてない試練の時

長くレアル・マドリー、スペイン代表で正GKとしてプレーするカシージャスの価値が落ちている。モウリーニョ政権での冷遇に始まり、代表での失態。そしてレギュラーに戻った今季も失点が多い。“聖域”はかつてない試練の時を迎えている。

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta

聖域への同情、そしてバッシング

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カシージャスは約2年もの間、クラブでは正GKの座を追われていた【写真:Rafa Huerta】

 レアル・マドリーのキャプテンであり、聖域であり、守護神と呼ばれたイケル・カシージャスが、その地位を失脚してから長くなった。

 カシージャスに対するバッシングが露骨になったきっかけは、ブラジルW杯におけるスペイン代表の敗退。だがそれ以前に、ジョゼ・モウリーニョに引き続きカルロ・アンチェロッティもマドリーでの第一GKにディエゴ・ロペスを据え、カシージャスは約2年もの間、クラブでは正GKの座を追われていた。

 スペインの敗退は、グループリーグでオランダを相手に5失点という守備力の弱さを露呈した末の結果であり、当時、ジェラール・ピケなどが個人的に戦犯扱いされたものの、これまでクラブと代表は別、とカシージャスを庇っていた擁護派も押し黙らざるを得ない結果となったのが現実だ。

 もといカシージャスは、マドリーのユースからトップチームまで上り詰めた希少な選手の一人。サポーターにとっては、だからこそ誇りであり、アイデンティティを重ねられる選手だった。

 古くはベッカム、フィーゴ、ジダン、最近では、クリスティアーノ・ロナウド、ベイルなど、常に外国人スター選手が数多くあふれる中で、レアル・マドリー魂の象徴であり、スペイン代表の誇りでもあるカシージャスは一線を画す存在だった。

 だが、スタメンとしてピッチに立てないキャプテンは、少しずつ同情を買う存在へと変容していった。そのような状況下、今夏、監督からの信頼を手にしながら、サポーターの愛情は勝ち取れず、常にカシージャスの影になっていたディエゴ・ロペスがミランへ移籍。

 クラブはその代わりとして、近年レバンテで頭角を表し、W杯でも注目を集めたコスタリカ代表GK、ケイロル・ナバスを獲得した。

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