フィジカルばかりが注目される鈴木武蔵だが…
ネパールを4-0で破り、グループ2位でアジア大会の決勝トーナメント進出を決めたU-21日本代表。難敵ではない相手に完勝したことを手放しで高評価するわけにはいかないが、イラク戦からしっかり切り替え、引いて守る相手に対して多彩な攻撃を見せたことは今後につながるだろう。
手倉森誠監督も「(2点目、3点目のような)コンビネーションをうまく出して得点できたのは大きい」と目を細めた。そうした攻撃を前線から引っ張るのが鈴木武蔵(アルビレックス新潟)だ。
鈴木と言えばジャマイカ人の父を持つハーフで、185cmの長身と50m走5秒9という俊足といった身体的な特徴がクローズアップされるが、実は豊富なイマジネーションを備え、コンビネーションの意識も高い選手だ。今大会でも「もっと味方との連携を意識して、得点を奪えるようにしていきたい」と語る。
後半9分に生まれたチームの2点目は矢島慎也のフリックパスから2列目の中島翔哉が抜け出して流し込んだ形だが、その間で鈴木が左手前に走りながらDFチャナドを引きつけ、中央のスペースを空けたことがポイントになった。
「翔哉が走っているのは分かったし、声も聞こえた」と振り返る鈴木は「なるべく慎也と(野津田)岳人のフリックに反応しようとして、そのあとに翔哉やもう1回岳人や慎也を使うプレーを意識していた」と語る。中島の得点を演出した場面も、そうした意識の延長線上にあったのだ。
逆に後半17分の自らのゴールは味方のスルーを活かしたものだ。左の秋野央樹を起点に、中島の縦パスを受けた矢島が手前に戻りながら右足でダイアゴナルの高速パスを出すと、バイタルで野津田がスルーした先で鈴木がDFラインの間に侵入し、右足のファーストタッチで裏に抜け出た。