今シーズン、Jリーグではサポーターによる2件の人種差別問題が発生し、当該クラブのファンに限らず大きな議論を呼んだ。ただ、人種差別は日本に限らず世界的な問題となっていることも事実だ。
サッカーの母国イングランドでは、フットボールリーグ・チャンピオンシップ(2部)に所属するボルトン・ワンダラーズのサポーターが自ら応援するクラブの選手、さらには監督にまで差別的な攻撃を与えて3年間のサッカー観戦禁止処分を下された。
ボルトンの地元紙「ザ・ボルトン・ニュース」によると、事件が発生したのは昨シーズンにあたる2月11日に行われたホームでのバーンリーとのダービーマッチ(0-1で敗戦)。
問題のサポーターはこの試合の最中、韓国代表FWイ・チョンヨンとイングランド出身の黒人選手であるMFリアム・トロッターに対して人種差別的な攻撃を繰り返した。
さらに、当時イギリスからの独立問題で揺れていたスコットランド出身のダギー・フリードマン監督に対してもその国籍に関する差別行為を働いたという。
このサポーターはスタジアムの警備員によって取り押さえられ、通報を受けた警察によって逮捕。裁判によって有罪判決を受け、罰金と3年間のサッカー観戦禁止処分を言い渡された。
韓国人、黒人、スコットランド人と複数の人々を攻撃したこの白人サポーターの度を超えた差別的思想は決して許されるものではない。警察に逮捕され、裁判によって公的に有罪判決を下されたという事実も人種差別がいかに悪質かを物語っている。
ボルトンのスポークスマンは同紙に対して「我々はどのサポーターであってもそのような振る舞いは許さない。必要に応じて警察と力を合わせる」と、今後も人種差別行為に対して厳しい姿勢で臨むことを誓った。
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