スタンディングオベーションで迎えられた本田
31日のミランvsラツィオ戦、後半32分。アルメーロが交代出場の準備をし、予備審判が提示したボードには「10」が示された。本田圭佑がベンチへと向かった時、スタンドのファンの8割以上がスタンディングオベーションで迎えたのだ。
チームが勝っている時、交代選手には拍手が送られる。これがカターニアあたりだとスタンディングオベーションの大盤振る舞いになるのだが、サン・シーロでは暗黙の“基準”がある。ただゴールを挙げても、その他のプレーに納得がいかなければ立たない人も多い。つまり、少なくともラツィオ戦でのパフォーマンスは、ファンに認められたということだ。
実際試合中、本田のプレーでスタンドは少なからず沸いていた。左からのミドルパスを胸で落としてポーリに繋いだプレー、アバーテとのパス交換からスペースへ出た時に見せた小気味よいドリブル突破、そして後半のカウンターで、相手をかわしてドリブルでボールを運ぶ様子。独りよがりのものに終わらず、展開を切開こうという意図が見えたこれらのプレーでは、確かにどよめきを呼んでいた。
ただ評価の源泉となったのは、やはり前半7分でのゴールだろう。右FWとして起用され、その期待に応えた。昨シーズンの不振によってファンは本田に懐疑的になっていて、選手紹介でブーイングが上がっていたのもついこの間の話。そのプレーッシャーを考えれば、良くワンチャンスを決め切ったものである。
しかしインザーギ監督には、懐疑というものはなかったようだ。プレーシーズンの好調を経ても、スピードがないとされる本田の右サイド起用に疑問を呈した現地メディアもあった。だが指揮官は自分の意思を変えず、むしろ速攻を演出するために必要な存在として本田に信頼を置いていた節があるのだ。