現役時代とは異なるインザーギ監督のスタイル
サン・シーロに愛された男が帰ってきた。栄光に満ちた背番号9ではなく、細身のスーツに身を包んでの帰還だが、その姿はサッカークラブの監督というよりも俳優やモデルのように凛々しい。
そんなフィリッポ・インザーギ監督は、自身の現役時代のプレースタイルはまさに「9番」。抜群の嗅覚とDFラインの裏に飛び出す一瞬の動きで得点を量産。点を取るために生まれてきたと言えるほどだった。
しかし、監督としてチームに求めるスタイルは“堅実”。全体をコンパクトに保って前線からプレスをかけて攻撃につなげ、状況次第では全体を押し下げてロングカウンターを狙うなど攻守のバランスに重点を置いたチーム作りをしてきた。
さらに、先発メンバーにも意外性が見られた。パッツィーニが負傷したため、選択肢が無かったとは言え、ウイングが本職のメネズをセンターフォワードに起用し、左にエル・シャーラウィ、右に本田圭佑を配置してゼロトップのようなシステムを採用。自らのポジションであった純粋な9番は存在しなかった。
GK:ディエゴ・ロペス
CB:アレックス、クリスティアン・サパタ
SB:(右)イグナツィオ・アバーテ、(左)ダニエレ・ボネーラ
アンカー:ナイジェル・デ・ヨング
CH:アンドレア・ポーリ、サリー・ムンタリ
WG:(右)本田圭佑、(左)ステファン・エル・シャーラウィ
FW:ジェレミー・メネズ
相変わらず空席が目に付くものの、スタジアムに駆けつけたミラニスタ達の期待と不安の視線の中でキックオフされた試合だったが、開始からわずか7分に得点が動く。
エル・シャーラウィがドリブルで左サイドを攻め込むと、逆サイドに猛烈なダッシュで走り込んだ本田へパス。ボールを受けた本田は落ち着いたシュートでネットを揺らした。