広島のACLはすべて失敗だったのか?
5勝1分け2敗・勝ち点16。これが4月6日・横浜FM戦(第5節)から5月25日の湘南戦(第13節)までの8試合、つまりここ2カ月における昨季王者・広島の戦績だ。
この数字だけみてもピンと来ない方が多いと思うが、同じ期間で広島を上回る勝ち点を稼いでいるのは大宮(8勝1敗・勝ち点24)、鹿島(6勝2分け1敗・勝ち点20)、川崎(5勝2分け2敗・勝ち点17)の3チームだけだ。25日時点での暫定4位という順位は、妥当なものだといえる。
敗戦の内訳を見ても、第5節に横浜FMに1-3で、第12節に首位・大宮に1-2で敗れた以外はしぶとく勝ち点を確保。節別動向を見てもここ2カ月の最低順位は7位であり、25日時点での首位・大宮との勝ち点差は9だ。29日の柏戦(順延分)で勝てば、差は6にまで縮まる。連覇を見据える上では悪くない数字といえるだろう。
一方、広島はAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)で3分け3敗の成績でグループリーグ敗退の憂き目にあった。プロとして結果に責任を負うのは当然であり、この結果を残念に思わないチーム関係者はいない。森保一監督は湘南戦後、この件について改めて尋ねた筆者に「ACLの敗退は、我々にとって不甲斐ない結果だった。非常に悔しい」と厳しい表情で語っている。
ただ広島のACLについては、結果以上にメンバー構成にも一部で批判があった。いわく「フルメンバーで戦っていない」「ACLをナメている」「補強をしないなんてあり得ない」「優勝チームのプライドを見せろ」といったものだ。こうした批判がすべて間違っている、とは言えない。何しろ結果は残せなかったのだから、チーム関係者は甘んじて受けねばならないだろう。
しかし、一方で外側から見ている人間としては別の考え方もある。それは、森保監督がACLに若手を起用したことによって、広島は明白な成果を得つつある、ということだ。以下、ACLを通じて成長した3選手の名前を挙げて広島の成果について論じたい。