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浦和レッズレディースのMF栗島朱里が約1年ぶりの復帰
WEリーグの新シーズンが開幕を迎え、三菱重工浦和レッズレディースは23日にAC長野パルセイロレディースを3-2で下した。
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1点リードで迎えた61分、浦和はDF遠藤優との交代でMF栗島朱里をピッチに送り出した。昨年10月に右膝前十字靭帯を断裂していた栗島にとって、約1年ぶりの公式戦出場となった。
「怪我をしてから、この試合を目標にリハビリをしてきたので、今日は出ても出なくても最高にいい準備をしてこの試合を迎えようと思っていました。結果、30分くらい出られたので、一歩前進かなと思っています。今日の30分間はすごく楽しかったです」
決して余裕のある展開ではなかったが、浦和の楠瀬直木監督は早めに栗島の起用を決断して交代カードを切った。「今日はいい流れで、点差が開いたら出そうかなと思っていたんですけど、練習を見ていてもかなりしっかりやっていたので、僕らとしてはもう大丈夫だろうと。あとは本人の背中を押すだけだった」と語る。
前十字靭帯断裂は手術をしてから約6〜8ヶ月で復帰できると言われるが、あえて慎重にプロセスを進めて復帰に1年かけた。リハビリ中、自分よりも先に復帰するはずだったチームメイトが負傷を再発させるなどアクシデントが続き、「彼女もすごく慎重になっていた」と楠瀬監督は明かす。
チーム練習や練習試合に復帰してからも、受傷時と同じようなシチュエーションでプレーにためらいが生まれてしまい、100%の力を発揮しきれない時期が長かったという。栗島はそうしたメンタル的な壁も乗り越えて、再び公式戦のピッチに立った。
「本当に1日1日良くなっている感触が自分の中にあって、今日の試合でもまた一歩前に進めた感じもある。ルーズボールにいって人とぶつかって怪我をしたんですけど、そのシーンが脳裏に焼きついていて、ボールにいくのがすごく怖かった。でも、守備にいけるところとかも増えてきたので、感触的にはすごくいいです」(栗島)
本職のボランチではなく、右サイドバックで復帰戦を迎えたのは公式戦の強度や対人プレーの感覚を取り戻していくため。楠瀬監督によれば、今後はプレー機会を増やしていきながら、再びボランチで起用できるよう段階を踏んでいくという。
栗島は復帰戦でスローインからチームの3点目をアシストし、浦和の勝利に貢献。ホームでの開幕戦に集まった4000人を超えるファン・サポーターと喜びを分かちあい、「1年かかったんですけど、みなさんの前でまたプレーができて本当に嬉しい」と語る。
そして、今後への強い意気込みも口にした。
「私が(怪我をして)いなくなってからみんなは2つタイトルを獲得していて、いままで獲ったことのない皇后杯を獲って、WEリーグカップも優勝してくれた。自分は関われなくて悔しくて、「いいなあ」と思っていました。
昨年(のリーグ戦)は2位でしたし、優勝するにはもう少し失点を減らしていかないといけない。私の良さは攻撃面より守備だと思っているので、私が入って失点を減らすようなプレーをできたらいいのかなと思っています」
これまでは怖さのあったプレーも「感覚的にはほぼ何も考えず、怖いという気持ちもなく勝負できた」と大きな手応えをつかんだ。WEリーグ初優勝を目指す浦和にとって頼もしい戦力が帰還し、完全復活への一歩を踏み出している。
(取材・文:舩木渉)
【了】