横浜F・マリノス 最新ニュース
重かった仲川輝人の最後の一言
明治安田生命J1リーグ第32節が8日に行われ、横浜F・マリノスはガンバ大阪に0-2で敗れた。
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マリノスが勝てば3年ぶりのリーグ優勝が決まる可能性もあった一戦だったが、リーグ戦のホームゲームで今季初の敗戦という結果に。選手たちも落胆した様子で取材に応じた。
途中出場したFW仲川輝人は「特にどうこうもないです。個の技術だったり、イメージだったりをしっかり共有できなかっただけだと思います。弱いだけです」と語る。厳しい口調にはもどかしさなのか、怒りなのか、不甲斐なさなのか、いずれにしろマイナスな感情が含まれていたように感じた。
J1残留を争う立場のガンバが用意したゲームプランは明確だった。一方でマリノスはボール支配率69%と多くの時間帯でゲームをコントロールしていながら、苦手とするセットプレー絡みで2失点。相手の3倍にあたる24本のシュートを放ちながら無得点に終わり、痛い敗戦を喫した。
仲川は「ペナルティエリア内に人はいるんだけど、別にそんなにクロスを上げなくても…と思いながら」プレーしていたという。終盤には中盤を1人削ってFWレオ・セアラを投入し、ゴール前に人数をかけて攻めたが、ガンバの強固な守備ブロックを崩すことができなかった。
マリノスの攻撃はショートパス主体で相手をゴール前に押し込みながらも、単純なクロスに頼りがちに。「選手に当たって方向が変わり、味方の前にボールが落ちてくることもある。そういった事故が起きるようなプレーをしても良かったのかなと思います」と語る仲川は、強引さが足りなかったことを悔やむ。
3年ぶりのリーグ優勝に手がかかっていながら、まだ届かない。リーグ戦は残り3試合、これがマリノスが頂点に立つために乗り越えなければならない最後の試練なのだろうか。
仲川は「試練というか、自分たちがちょっと緩んでいるかもしれない」と危機感を口にする。マリノスの選手たちは皆、常に「目の前の試合に全力で」といった意味の言葉を繰り返してきた。頭の中にその意識が根づいているのは間違いない。
しかし、タイトル獲得が濃厚になったことで無意識的に小さな気の緩みが発生してしまっている可能性も排除できない。外から見ただけではわからない、気づくのが難しいほどのほころびも、時には致命傷になりうる。
3年前にリーグ優勝を経験し、Jリーグ得点王とMVPにも輝いたトリコロールの背番号23は「この敗戦が、自分たちをまた引き締める1敗になる。今日は今日でしっかりと結果を受け止めて、また次の試合に準備するだけだと思います」と、自分に言い聞かせるように気を引き締めていた。
マリノスは12日にJ1リーグ第27節延期分でジュビロ磐田と対戦する。この試合も、再び優勝決定の可能性のある90分間。今度こそ勝って、悲願のタイトルを手中に収めることができるだろうか。
リーグ優勝を目前にしながらの敗戦を重く受け止めている様子の仲川は、最後に「まだまだ甘いんじゃないですか」という言葉を残して帰路についた。
(取材・文:舩木渉)
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