ACLの出場停止を国内リーグで消化するAFCのルール
仙台の手倉森誠監督は、5月16日、Jリーグ第12節横浜戦をスコアレスで分けると、自らに言い聞かせるかのように語った。
「ウィルソンの出場停止を通達されたのが昨日だったが、逞しくやれるんだというところは見せられた。アウェイ戦で好調マリノスを突っ走らせなかったのは良かったと思う」
昨年Jリーグ2位の仙台は、今年ACLに初挑戦した。ベスト16争いは最終節までもつれ、仙台も1日最終戦で江蘇舜天(中国)を叩けば、ノックアウトステージへの進出のチャンスを残していた。だが地元の大声援を背に戦った最終戦は、惜しくも1-2の敗戦。この試合の終了間際にウィルソンが退場になり、大会からの敗退が決まった。
こうした場合、AFC(アジアサッカー連盟)は独自のルールを設けており、敗退チームの選手の累積処分は、直後の国内公式戦で消化されることになっていた。
因みにUEFA(欧州連盟)では、大陸トーナメントのカード累積が国内に適用されることは基本的にない。欧州チャンピオンズリーグの大会規定では、警告累積はシーズン終了とともに消滅し、退場ケースだけが翌シーズンに持ち越される。
つまり欧州なら、ウィルソンのケースは、次に仙台がチャンピオンズリーグに出場した時の最初の試合に出場できないことになる。AFCルールだと、主催の異なる国内公式戦で出場停止処分を済ませられるので、退場した選手が次のACL出場機会にも初戦からプレーできる。
日本の場合は、ACL出場チームがナビスコカップのグループリーグを免除されているが、他国ならカップ戦を1試合休むだけでも、出場停止処分が消すことが出来るわけだ。要するに、多少国内の公式戦を犠牲にしても、AFC主催トーナメントを権威づけ盛り上げていこうという意図が隠されているのかもしれない。