リーグ戦でわずか18失点。抜群の安定感
今、もっともヨーロッパで強いクラブはどこか? その問いに「バイエルン・ミュンヘン」と答えても異論のある人は少ないだろう。ブンデスリーガでは圧倒的大差で優勝、チャンピオンズリーグでもユベントスやバルセロナといった強豪を寄せ付けず、決勝に進出した。
データもその強さは証明している。2位ドルトムントに勝ち点25をつけて優勝した国内リーグでは、98得点(5月24日時点で欧州主要リーグではバルサに次ぐ2位)、18失点(リーグで2番目に失点の少ないレバークーゼンが39失点)。
国内リーグ戦で20失点以下に抑えたのはバイエルンだけ。加えて、過去10年のイングランド、スペイン、イタリア、ドイツのリーグ戦を遡っても、20失点を下回ったのは04-05シーズンのチェルシーのみ(72得点・15失点)。
CLでも守備の堅さは健在だった。ベスト16ではアーセナルに合計3失点を喫したが(アウェイ1-3で勝利、ホーム0-2で敗戦)、そこからネジを巻き直した。ベスト8のユベントス戦は合計4-0、セリエAを席巻したコンテの戦術もまったく歯が立たなかった。
特筆すべきはバルサ戦。優勝候補のバルサを合計7-0と粉砕した試合は、ヨーロッパサッカーの歴史が変わるエポックメイキング的な出来事として捉える人もいたほどだ。
ドイツS級ライセンスを保持し、バイエルンの関係者とも今も連絡を取り合う鈴木良平氏はバルサ戦の勝因をこう分析する。
「バルサ戦に関しては完全にハインケス監督の作戦勝ちです。彼は本来、モチベーターとして優秀で、これまでも選手の能力を引き出すのが上手いタイプの監督でした。戦術家タイプではなかったのですが、バルサ戦では徹底的に研究してそれがハマりましたね」