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2023年10月より、「インボイス制度」という新たな税制が施行される。主に売り上げ1000万円以下の小規模事業者を対象に、請求書の仕様変更を義務付ける制度だ。施行まで残り1年強に迫っているが、制度の是非をめぐり、大きな議論が起こっているという。「インボイス制度」は何が問題で、サッカー界にどのような影響を与えるのか。(取材・文:中村僚 監修:佐々木淳一【税理士】)
最大1000万円超? Jリーグクラブの税負担が増す新制度
単刀直入に結論から述べよう。インボイス制度が施行されると、年俸1000万円以下の選手やスタッフを対象に、消費税の増税となる。その額はいくらか? 大手雑誌の選手名鑑に掲載されている推定年俸から計算すると、J1クラブなら平均488万円だ。もっとも負担額が多いクラブは938万円にもなる。
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この金額は一体どれくらいの負担感なのか? J1クラブの2021年度当期純利益の平均値は▲8600万円、中央値は▲150万円。つまり、半分以上のクラブが赤字経営にもかかわらず、500万円近い税負担を新たに強いられるのである。もっとも、J1クラブの純資産は平均4億6211万円。債務超過は5クラブのみで、多くのクラブに1000万円以上の純資産がある。収支の改善や、税負担を選手と分け合えば、そこまで深刻な問題ではないかもしれない。
より深刻なのはJ2以下のクラブだ。下のカテゴリーはやはり経営規模がJ1より小さいクラブが多い。さらに、インボイス制度による税負担の増加額は、年俸1000万円以下の選手を多く抱える中小規模のクラブの方が大きい。J2の推定年俸はどの選手名鑑にも掲載されていないので、ここでは年収・収入に関する総合情報サイト「年収ガイド」(https://www.nenshuu.net/)に掲載されている「J2選手の平均年俸は約400万円」という数字を用いる。少々無理があるが、仮に年俸400万円の選手が30人所属していると考えると、新たな税負担額は約1090万円だ。
この負担はどれほどのものか?