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「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点

日本代表にとって2014年W杯は2006年W杯を想起させるものとなった。試合展開やスコアが近似していたのは偶然に過ぎないが、チームを取り巻く環境がこの2大会は類似していたように思える。両大会を比較し、あるべき日本サッカーの方向性を再考した。

text by 宇都宮徹壱 photo by Getty Images

遠藤保仁が口にした「8年前に似ている」の意

「何となく、ドイツの時に似ているような気がするんですよね」

「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点
今大会の日本代表選手で唯一2006年のドイツ大会を経験している遠藤保仁【写真:Getty Images】

 遠藤保仁がそう語ったのは、アメリカはフロリダ州タンパで行われた、日本代表のW杯直前合宿でのことだった。今回のメンバーでは最年長の34歳。唯一最多、3回のW杯出場となる遠藤は、もはや「長老」の風格すら感じられる。

 そんな彼が、現在の日本代表の状況について「ドイツの時と似ている」と語るのだから、往時を知る者のひとりとして、何やら胸騒ぎのようなものを感じずにはいられなかった。

「こうして(本大会に向けた準備が)上手く行っている時って、実はチームとして危なかったりしますから。でも、当時を知っているのは僕だけなので、他のみんなにはなかなかわかってもらえないんですけどね(笑)」

 今となっては忘れられているかもしれないが、8年前のドイツ大会での遠藤は、フィールドプレーヤーでは唯一、出場機会が与えられなかった。当時の背番号は4。7番を付けていたのは、グループリーグ最終戦の対ブラジル戦を最後に、現役引退を発表することとなる中田英寿である。

 結局のところ、遠藤のこの予言は、それから3週間も経たずに現実のものとなってしまう。

 6月14日(現地時間。以下同)の初戦となったコートジボワール戦。日本は16分の本田のゴールで先制するも、ほとんどの時間で守勢に回る展開を強いられ、62分にディディエ・ドログバを投入されると、わずか2分で逆転を許してしまう。スコアこそ微妙に異なるが、試合展開としては8年前のオーストラリアとの初戦と同じだ。

 おりからの猛暑で日本の選手の足が止まったところで、オーストラリアのフース・ヒディンク監督は、攻撃的な選手を相次いで投入。日本は、あれよあれよと失点を重ね、1-3で初戦を落としてしまった。

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