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株式会社カンゼンが主催するサッカー本大賞は、その年に出版されたサッカー関連書籍から優れた書籍を毎年表彰している。出版されるサッカー本は、ワールドカップやオリンピックなどのビッグイベントなどの影響もあり、年によって大きく変わる。YouTubeチャンネル『MILKサッカーアカデミー』のノーミルク佐藤氏、井上マー氏、フットボール批評の石沢鉄平、フットボールチャンネル編集長の加藤健一の4人が、歴代受賞作とサッカー文化の変遷を語った。
【写真:Getty Images】
サッカー本大賞とは?
井上「サッカー本大賞はどんなものなのでしょうか?」
石沢「設立されたのが2014年で、ブラジルワールドカップ前でサッカーが盛り上がっていた時期ですよね。そのときに、サッカーを専門とした賞が必要なんじゃないかということで、我が社が作りました」
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加藤「サッカーを日本の文化としていろんな人に親しんでもらうためにも、本好きの人に知ってもらいたいと思いますね」
井上「新たにサッカー本を書いてもらう作家の方とか、いいサッカー本が出てくるようにという願いを込めまして、もっと盛り上げようじゃないかと!」
佐藤「そうだそうだ!」
井上「それで、過去の資料をお送りして佐藤先生に分析してもらったら面白いんじゃないかということで話してました。そしたら快諾してくれて、ノリノリで作ってきてくれました!」
佐藤「楽しかったです! 年ごとにこれだけ色が違うんだなというのが分かりましたし、(2014年から)やってきたからこそ2022年は、2023年はきっとこういうのが大賞、優秀賞に挙がるんだろうな、というのも何となくわかりました」
井上「わかったんですか? 本を書く人じゃないんだから(笑)」
佐藤「傾向と対策はバッチリです!」
井上「大賞取りたいとか、サッカー本書いてみたいとか、いろんな才能が生まれるかもしれませんね、編集長!」
石沢「全出版社、必聴です」
佐藤「まずは2013年ですね。和書が96点、洋書が20点ありますね。やっぱり2014年のブラジルワールドカップに向けて、日本代表関連の書籍がめちゃめちゃ多かったです。あのときはザックジャパン、本田圭佑、香川真司、……。『2014年のワールドカップでイケるんじゃないか!』という期待もあって、いろんな出版社さんがザックジャパン関連の本を出版されてたんじゃないのかなと思います」
井上「そのあたりは実際どうなんですか?」
石沢「点数が100近くあるのが改めて驚きですよね」
井上「大賞が『ボールピープル』という本でした」
石沢「世界を渡り歩いたカメラマンの方で、いい写真ばかりでそれにパンチのきいた文章がついているという。サッカー本なんですけど写真集というのがおもしろいところですね」
佐藤「次は2014年を見ていきましょう。ブラジルワールドカップがあったんですが、日本は決勝トーナメントに行けずに敗れてしまいました。びっくりしたのが、ワールドカップが行われるまでの上半期に和書78冊、洋書20冊出てたんですが、代表系が多かったですね。サッカー本自体がワールドカップまでに発売される傾向が高かったというのがありました」
加藤「ワールドカップが一番注目されるので、そのときに書店さんに並んでいるというのは絶対的にあります」
井上「我々サッカー好きはずっと注目していますけどね」
石沢「世間一般的にはそうですよね。だから今年のカタールワールドカップの前には、それなりの本数が出てくると」
井上「わかった! もう答え出たんじゃない? ワールドカップの本を書けばいいんじゃない?」
佐藤「間違いない! 今年は冬開催なので、まだまだこれから出てくると思います。このとき(2014年は)は勝てるんじゃないかと思っている中で勝てなかったというのもありましたね。優秀賞の中に(ザッケローニ監督の)通訳の矢野大輔さんが書かれた『通訳日記』も入ってきてますし、『サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか』というデータ関連の書籍なども出てきました。
その中で面白いなと思ったのが、中村慎太郎さんが書いた『サポーターをめぐる冒険』という本で、代表というトップオブトップが上がっていけばいくほど、J2、J3、地域リーグというような裾野を広げるような作品も伸びてくるという傾向がありましたね」