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【写真:Getty Images】
前田大然が体感した「世界」との差
サッカー日本代表は10日のキリンカップ初戦・ガーナ代表戦に向けて合宿を行なっている。
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6日に行われたブラジル代表戦は0-1の敗戦に終わり、出場した選手たちはFIFAランキング1位の強豪国との対戦からそれぞれ様々なものを感じ取った。
後半途中からピッチに立ったFW前田大然は「ボールにそんなに関わっていないし、関わらせてくれなかったというのが一番」とブラジル代表との大きな差を実感しているようだった。
「スピードとかの前に、その前でシャットアウトされた印象です。試合もすごく早く終わった感じでしたし、ただ試合に出ていたな……という感覚でした」
持ち味であるスピードを生かすことができないどころか、それを発揮する瞬間すら与えてくれない。世界トップクラスの守備陣との間には、大きな壁があった。
しかし、見せ場がなかったわけではない。89分、ボールを持ったブラジル代表のGKアリソンに猛スプリントでプレッシャーをかけた前田は、世界最高峰の守護神を焦らせた。ぎりぎりまで追い詰めて、ボールをピッチの外に蹴り出させたのである。
「GKは僕が来るとわかっていない状況で奪いにいっているので、焦って外に出そうと思って、僕の足に当たってそのままゴールというチャンスですね」
狙いは明確だった。横浜F・マリノスなどでプレーしていたJリーグ時代や、セルティックでも度々相手GKを脅かした、前田の十八番とも言えるプレーである。実際にGKに対してプレッシャーをかけ、得点につなげた場面を記憶しているファンも多くいるだろう。
ところがアリソンには「逃げられた」。ブラジル代表守護神はギリギリのところで前田の接近を感じ取り、瞬時に判断を変えてボールを伸びてくる足と逆の方向へ蹴り出した。前田にとっても衝撃は大きかったようだ。
「足に当ててゴールに入るのを想像していたので、それができなかったのは彼(アリソン)のうまさですし、そういった意味でもすごく上のレベルなのかなと、あの1つのプレーだけでも感じました」
「足に当ててゴールというのは、いつも狙っているプレーなので、あれを外に逃げられたのでまだまだだなと。スコットランドでああいうゴールはまだないですけど、あれはチャンスになると思うのに、させてくれなかった。あれだけじゃなくて、全てにおいて差を感じました」
Jリーグで得点王に輝き、冬に移籍したスコットランドの名門セルティックでもすぐ主力に定着して活躍してきた。それでも世界のトップクラスとの間には、埋めがたい差がある。前田は自信を持って繰り出したワンプレーを打ち砕かれ、格の違いを叩きつけられた。
カタールワールドカップ開幕まであと5ヶ月だが、「焦りはない」。それでも本大会での日本代表メンバー入りに「近づいたという感触は全くない」と前田は語る。
「近づいた、遠のいたは関係なく、目の前の試合をやっているだけ」という韋駄天は結果を残し続けることだけに集中している。毎日に全力かつ真摯に向き合った先に、再びアリソンのようなワールドクラスに挑むチャンスがあると信じて。
(取材・文:舩木渉)
【了】