「壊滅的な敗北の責任は私にある」。不振だった攻撃の責任は指揮官に
ブラジルのサッカー史上、最大の屈辱となる1-7の敗戦にもミネイロンスタジアムに悲劇感はなかった。
既にドイツが6点をリードしていた70分すぎのことだ。かつてはブラジルの代名詞だったはずのテンポよいパス回しにブラジル人サポーターたちは「オーレ」「オーレ」と逆に賞賛を始めたのだ。
エースのネイマールと主将のチアゴ・シウバを欠いて挑んだ大一番。攻守の軸を欠いていたというエクスキューズはあったにせよ、サッカー王国はあまりにも無様な戦いぶりでドイツの前に屈した。
ネイマール不在の一戦に向けて、スコラーリ監督は様々な布陣を試していた。ドイツの攻撃力を警戒すべくボランチを3人配置する4-3-3や従来の布陣をそのまま用いた4-2-3-1がその選択肢だった。
そんな指揮官が送り出したのは今大会初先発のベルナルジ。やはり大会途中に当時のエース、ペレが離脱した1962年大会には代役のアマリウドが新星として活躍し、ブラジルは2度目の優勝に輝いているが、奇しくもこの日ピッチに送り出されたベルナルジはアマリウドと同じ背番号20だった。
スコラーリ監督はベルナルジに「第二のアマリウド」の幻想を見たのだろう。そんなブラジルだが、開始早々の11分にCKからミュラーに先制を許し、いきなり追う展開に。
24分に右サイドを崩され2点目を許す展開にブラジル人サポーターは「EU ACREDITO(オレは信じている)」コールを響かせたが、26分の失点は選手とサポーターの心を折るのに十分なものだった。
「壊滅的な敗北の責任は私にある」。王国の誰もが夢見た6度目の優勝の希望を絶たれた直後、スコラーリ監督は振り返ったが、今大会、ほぼブラジルらしい攻撃性を見せられなかった責任はやはり指揮官が席を問われるべきだろう。