豊田「プレスに行っても交わされる」
「堅守速攻」
クラブ初のJ1シーズンに臨んだ昨季の鳥栖を端的に表す言葉はこれだろう。前線からのプレスに加え、時には5バックにしてゴール前を固める。そして、ボールを奪ったら、前線の豊田にロングボールを蹴り込む。この徹底した戦術が、昨季の躍進を支えていた。
しかし、今季の鳥栖にその面影はない。第11節終了時の戦績は、2勝4分5敗の勝ち点10で15位。2年目のジンクスに陥ったと言われても仕方ない。
昨季の同時期から得点は10点から18点に増えたが、失点は6失点から4倍の24失点に膨れ上がっている。これに伴い、昨季は半数以上となる6試合もあった無失点試合はここまで0という状況だ。一体、鳥栖の守備に何が起きているのか?
得点を量産するだけでなく、チーム守備の急先鋒となるFW豊田陽平は「昨季に比べると守備のスタートの位置が上がっている。でも、チーム全体のラインは上がっていなくて、選手の距離感が遠い」と振り返る。
いわゆる間延びした状態となっているため、必然的に相手のパスコースが増えて容易にボールをつながれてしまう。よって、「プレスに行っても交わされることが多い」と豊田は続ける。要は、チーム全体でコンパクトな形からの守備ができていないのだ。
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