なでしこジャパン 最新ニュース
【写真:2022 Asian Football Confederation (AFC)】
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)は3日、AFC女子アジアカップインド2022の準決勝で中国女子代表に敗れた。アジア3連覇を目指した戦いは、2-2のままPK戦までもつれた激闘の末、ベスト4で幕を閉じることとなった。
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タイトルは逃したが、収穫がなかったわけではない。昨年10月に発足した池田太体制で攻撃の軸になっていきそうな若手選手たちの台頭は、2023年の女子ワールドカップ出場権を獲得したなでしこジャパンにとって重要な成果となるだろう。
大会を通じて大きなインパクトを残した選手の1人が、FW植木理子だ。日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属する22歳のストライカーは、グループステージ初戦のミャンマー女子代表戦でA代表初ゴールを挙げると、準決勝までの5試合で5得点を奪ってチームを力強くけん引した。
中国戦の前日記者会見で「チームを勝たせるゴールを決めることが一番の大きな役割だと思うので、あと多くて2試合、自分のゴールでチームを勝たせられるようにやっていきたいと思います」と意気込みを述べていた植木は、しっかりと強い思いを結果に変えて見せた。
26分、MF宮澤ひなたからのワンタッチクロスにタイミングよく飛び込み、ヘディングシュー糸で先制点を挙げる。同点に追いつかれて迎えた延長前半の103分にも、MF長谷川唯のフリーキックに頭で合わせて貴重な勝ち越しゴールをもたらした。相手のディフェンスラインと駆け引きして絶妙なタイミングで背後へ抜け出すプレーは、大会を通して常に相手の脅威になっていた。
だが、今回のアジアカップで残した結果には全く満足していない。植木は「なでしこジャパンとしてこういう大きな国際大会に出るのは初めてだったので、気合いは入っていましたし、ここで結果を出していやるという気持ちは持っていた」と語るが、チームを勝たせることができず不甲斐なさを感じているようだった。
「個人としてゴールを決められたのは自信につながると思いますけど、やっぱりチームを勝たせるゴールは決められていない。今日で言えば、後半も自分にシュートチャンスは何本かありましたし、そこで決めていれば延長戦、PK戦とならなかった試合展開だと思います。そういった部分で自分の未熟さを痛感した大会ではありました」
好調を自分自身で感じながら「一緒にやる選手が自分のやりやすいように動いてくれたり、コミュニケーションを取ってくれたりした」と周囲に生かされた感覚が強いと語る植木は、個の力で局面を打開して自らゴールを奪っていけるストライカーになることを目指している。
そして、ワールドカップ出場への思いも強い。2019年の前回大会は23人の登録メンバーに選ばれながら、直前合宿中に負傷して本大会に出場できなかった。2023年にオーストラリアとニュージーランドで開催される4年越しの大舞台では、エースとして活躍する未来を思い描きながら挑戦を続けていく。
「前回のワールドカップは怪我で(直前に)離脱して、まだ悔しさが残っています。そんな中でワールドカップのチケットを手にする大会に自分が参加できたのはすごく嬉しく思うので、この経験をしっかりワールドカップにつなげるためにも、ワールドカップまでの準備期間というのは、チームとしても個人としてもすごく大事になってくると思います。クラブ(ベレーザ)でゴールを取り続けることはもちろんですけど、その中で自分のできることを少しでも増やして、チームに残り、この競争に勝っていけるように頑張りたいと思います」
高倉麻子前監督のもとでは2020年3月まで継続的に招集されていたが、昨年の東京五輪本大会出場も逃し、まだ国際経験は少ない。だが、池田太監督からの信頼を受けてストライカーとして結果を残し、なでしこジャパンにおける存在感は一気に大きくなった。
かつてはウィングでの起用が多かった植木は、ビルドアップへの関わりやポストプレーなど、フィニッシュ以外の場面でのプレーも質を高めてストライカーとして成長を続けてきた。新体制で台頭したニューヒロインは、なでしこジャパンが大事に育てていくべきエース候補だ。
(取材・文:舩木渉)
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【了】