スポ根顔負けの精神論を披露したキューエル
親指を立てて自信ありげなアンジ・ポスタコグルー監督の写真と「サッカルーズがスペインに勝てる理由」という野心的な見出しが付いた囲みを地元紙「Courier Mail」の一面に見つけたのは、スペイン戦の前日だった。
コラムの指定されたページを興味深くめくると飛び込んできたのが「オージーよ、風のように走れ」という大きな見出しが付いたコラム。その独占コラムの筆者は、今季限りで現役を退いたオーストラリア・サッカーのアイコンであるハリー・キューエルだった。
そのキューエルが、コラムの中でスペイン戦に備えるサッカルーズへのアドバイスを書いているくだりが、なかなか興味深い。
「アダム・タガードを始めとした、スペイン戦でチャンスを得る若い選手達への私のアドバイスは簡単だ、とにかく走れ、何も余計な事を考えずに。風のように走り、もうこれ以上走れないというところまで走り抜け」という、スポ根顔負けの精神論が繰り広げられていた。
スペインに臨んだサッカルーズの先発の顔ぶれは、出場停止のティム・ケーヒルだけではなく、ケガで万全では無いマーク・ブレシアーノ(後半から途中出場)、マーク・ミリガンの両ベテランMFをも欠くいわゆる「飛車角落ち」と言えるものだった。
ケーヒルの代わりには、先のコラム内でキューエルが個人名を挙げた期待の若手で今季のAリーグの得点王のタガードが先発するも、絶対的エースの代役という大任を全うすることが出来ないまま、良いところなく前半で退いた。
【次ページ】前半は善戦も、0-3の完敗を喫したスペイン戦