カタールワールドカップアジア最終予選の日本代表対中国代表が27日に行われ、日本代表が2-0で勝利を収めた。4連勝で2位をキープしたが、課題が残る試合内容だった。長友佑都、南野拓実、大迫勇也は今後どうすべきか。改善点が炙り出されたのではないだろうか。(文:西部謙司)
繰り返された攻撃プランの不発
【写真:Getty Images】
確実に中国代表を下してサウジアラビア代表戦に臨むことができた。コンディションも悪くなく、日本代表が2つ寄せきれば中国代表はほぼボールを失う。これで趨勢は決まり、あとは日本代表が点をとれるかどうかという試合になっていた。
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前半に大迫のPKで先制。後半に伊東のヘディングシュートで加点。試合そのものは危なげない。ただ、3ポイントを得たほかにポジティブなものはほとんどなく、前半に関しては「まだこれを続けるのか」という感想になる。相手のパワーダウンもあるにせよ、大迫と長友が退いてから好転したのは象徴的だった。
攻撃の設計は右では伊東がサイドに開き、左では南野がハーフスペースに入って長友がサイドに張る。そして大迫は相手のDFとMFのライン間へ下りる。ところが、今予選でこの攻撃プランが上手くいったことはなく、今回もそれは同じだった。
まず、南野をライン間の受け手にするのはミスキャストだと思う。これは2019年のアジアカップのときからわかっていたはずだ。セカンドトップとして得点力があり守備もできるが、ライン間で何かを期待できるタイプではない。
そして、南野を中へ入れることで外へ上がってくる長友の攻撃にほとんど効果がない。さらに大迫がライン間へ下りることで状況はさらに悪化する。大迫はライン間の受け手として抜群の能力があるものの、相手DFは前向きにプレーできるので怖さがない。
ディフェンスラインを高く置けるのでライン間が狭くなり、大迫からのパスを受ける選手が手詰まりになってしまう。南野、伊東は狭くなったライン間でプレーするのに適しておらず、南野+長友+大迫の連動メカニズムがほぼ何も生み出さないのはこれまでの試合と同じだった。
ただ、素早い寄せでボールを奪ってリズムをつかむと、ライン間ではなく、ライン自体を押し下げられるようになる。この局面ではサイドに開いた選手のドリブル突破や1つ内側の「ポケット」への侵入が定番だ。伊東のスピードは明らかに相手の脅威になっていた。PKにつながったのは伊東の突破である。ただし、縦への突破は警戒されていて、ここを抑えられると攻め手はセットプレーぐらいしかなくなっていた。