「我々がフランス代表に求める、威風堂々とした勇敢な戦いぶりがある」
グループCの最難関と目されていたスイス戦に5-2と快勝したフランス代表。さすがに自国メディアにネガティブな報道は見られず、歓喜ムード一色だ。
『クラクラする!』
とアイドルの歌の歌詞みたいな見出しを掲げたレキップ紙では、筆頭代表番のヴァンサン・デュルク記者が「細かな修正点こそあるが、このチームは底が知れない」と絶賛。80分を過ぎてからスイスに2点を入れられるという失態はあったものの、「次は気を引き締めて、最後まで気をつけましょうね」と、ひっそり書き加えた程度に留めている。
そして、レキップ紙の向こうを張るパリジャン紙の筆頭代表番ドミニク・セベラック記者も、『このチームには、我々がフランス代表に求める、威風堂々とした勇敢な戦いぶりがある』と、ポジティブな形容詞を並べ、『これまでの暗い過去をすべて払拭し、明るい未来を構築している』と、熱い思いはブラジルを飛び越えてその先まで飛んでいる。
「今の彼らは、何をやってもうまくいく。これほど感情を昂らせるほどのサクセスは予想できたであろうか!!」と、その文面からは、筆がもう止まらない、といった、興奮具合がビシビシと伝わってきた。
2004年のユーロで早期敗退したあたりから、嫌われ倒したドメネク政権の影響もあり、代表ネタには常に暗さが漂っていた。勝利をおさめても、小さな問題点をほじくっては「勝ちはした…しかし、」と続くのが、お決まりのパターン。
だが、現代表にはそれがない。今回のフランス代表を取り巻く環境で、これまでと違うと感じるのが、実にこの部分だ。