「観ないで寝てしまった方、ご安心を。何も見逃していません」
読んでいるうちにゲンナリしてしまった。日本対ギリシャ戦後のメディア評である。
この試合は、フランス時間の0時キックオフだったのだが、
『観ないで寝てしまった方、ご安心を。何も見逃していません』
『起きてこの試合を観てしまった方、ご愁傷さま。その体力を翌日のフランス戦に温存しておくべきでした』
『つまらなさはワールドクラス』
『両者とも果たして勝つために戦っていたのか?』
『この2チームは粛正された』
『まったく何も記憶に残らなかった試合』
などなど。
この大会のニュースを集めた特設ニュースサイトも『この対戦は、今大会でもっとも無味乾燥な試合の筆頭に躍り出た』と皮肉たっぷりだ。どのメディアの執筆陣も、遠慮、容赦なく書いているが、事実なのだから仕方がない。
フランスでの一般的な日本のサッカーに対する評価は、欧州の他のフットボール先進国同様、高くない。それは「アジア=サッカー」という公式にピンとこないせいでもある。
しかし、通の間では、『チームプレーに優れ、動きが俊敏でテクニックが確か。パスワークに秀でた小粒ながらきらりと光るチーム』といった評価を受けているし、リーグアンに通算8季在籍した松井大輔の、ルマン時代のミラクルプレーをいまだに代名詞に挙げる人もいる。
また現代表の選手たちを含め、子供のころ、アニメ『オリビエ&トム』(『サッカー翼』のフランス語タイトル)に夢中になり、技を真似して育ったサッカーキッズは大勢いる。