【写真提供:JFA】
【日本 0-0 オランダ 国際親善試合】
サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は現地29日、国際親善試合でオランダ女子代表と対戦し0-0のスコアレスドローに終わった。
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25日のアイスランド代表戦も合わせた2試合で、GKスタンボー華を除く全員がピッチに立った。しかし、戦績は1分1敗。池田太監督が率いる新体制は難しいスタートを強いられた。
ただ、前に進まなければならない。来年1月にはワールドカップ予選を兼ねたアジアカップが行われる予定で、今度は国際親善試合と違って負けが許されない戦いになる。今回のオランダ遠征で出た成果と課題を早急にチームの成長へ結びつけねばならない。
オランダ戦を終えた池田監督は「守備はしっかり規律を持ってできていましたし、コンパクトさのところではラインコントロールも含めて最後まで集中できていたと思います」と語った。確かに守備に関してはアイスランド戦よりも連動性が増し、より確実に自分たちの狙い通りの形でボールを奪えるようになってきている。
しかし、キャプテンに任命されたDF熊谷紗希は「このオランダに勝てないようじゃ…というか、勝たなければいけない相手だったなというのはやりながらすごく思っていた」と悔やんだ。
新体制ではオランダ戦が初出場となったFW岩渕真奈も「自分自身プレーしている中でも、ゴールを目指しつつもゴールが遠いなと感じていて。ゴールへの意識の中にもいろいろな要素があると思うんですけど、結局点を取らないと勝てない。今日に関してはディフェンス陣は本当に良かったと思うので、こういう試合を勝ちきれなかったことは攻撃の選手として責任を感じますし、もっともっとやるべきことはあるなと改めて感じました」と反省を述べた。
相手は前の試合から中1日でスタメンを全員入れ替え、主力の大半はベンチ外。追加招集も含めて経験の浅い選手が多く、本来のパフォーマンスからは程遠かっただけに、無得点という結果はやはり寂しい。
2試合連続でゴールを決められず、池田監督も「空けたスペースに味方がうまく入ってくるとか、複数の人数がお互いの動きを見て判断を変えられたり、ボールを持っている選手の状態を見てアクションを起こせるかとか、そういった繋がりのところでは、ゴール前でもうひと工夫、もうひと精度ほしいというところですね」と語る。
アイスランド戦でも攻撃面の課題を語る選手は多かった。MF長谷川唯もその1人。バリエーションや個々の判断の精度に物足りなさを感じていたという。
「裏への動き出しだったり、裏を狙うボールは今日(アイスランド戦)少し多く出たのかなという風に思うんですけど、やっぱり判断をもっとしなければいけないなというのが課題で出てきて。もちろんアグレッシブにどんどん狙えているのはいいと思うんですけど、それを囮にして、しっかり他の人が動き出したり。
狙いは本当に共有できていて、それにチャレンジできたと思うんですけど、それによって逆に他の選択肢が少し減ってしまったりしたので、そこもしっかり、個もそうですし、チームとしても落ち着くところと、チャンスで狙わなければいけないところの判断を全体で共有して話していきたいと思っています」
これに対し、オランダ戦を終えた時点で岩渕は「形という形が何なのかを今日は得ようと思って試合に入った中で、個人的な意見ですけど、最終的には個で剥がせたり、個でゴールに向かうことの重要性はすごく感じるので、チームありきのサッカーですけど、FWはもう少しグイグイいけてもいいというのがあります」と前線から攻撃の方向性を作っていく重要性を説いていた。
なでしこジャパンが新体制で1つの重要テーマに掲げている「奪う」守備に関しては、前線からのハイプレスや全員のハードワークによって前向きな収穫を多く得られている。1月のアジアカップに向けた次なるステップは、攻撃でより確実にシュートチャンスを作り出すことだろう。
2試合連続で先発したMF長野風花も「自分たちがもっと共通意識を持って、攻撃の狙いがハッキリしてくればもっともっと自分たちのサッカーもできるし、勝利をモノにできると思う」と語っていた。
10月の国内合宿からチームコンセプトの落とし込みを始め、池田体制2度目の活動となった今月は2試合を通して「できること」と「できないこと」の確認が進んだ。高倉麻子監督の時代から大きくスタイルの転換を図っている中で、進むべき道はハッキリしてきただろう。
岩渕は「ゴール前もそうですし、ゴールに向かう部分は、もう少し個々がボールを運ぶだったり、強いパスだったり(が必要)。場所、場所でボールがあまり動かないとおは個人的に見ていても感じましたし、やっていても感じた部分なので、そこは自分が積極的に伝えて、もっともっと迫力が出るように頑張りたい」と今後の展望を口にする。
経験豊富な選手たちから、代表経験の浅い選手たちに知識を伝え、チームコンセプトと個々の判断基準をすり合わせていくことが12月の国内合宿のテーマになるだろうか。池田監督は「今までに招集していない選手も含めてチームの考え方を広げていくといいますか、選手に浸透させていく、幅を広げることも少し考えなければいけない」と選手の入れ替えを示唆しており、戦術の練度向上と、意識の共有を同時に進めていくことになるかもしれない。
「1人ひとりの個を伸ばして、その集合体で強いなでしこジャパンになると思っていますし、選手1人ひとりが自分が向上できることを常に考えてプレーし、これからどうやって行動していくかというところにもかかってくると思います」
来年1月の絶対に負けられない戦いに臨むにあたって、さらに進歩した新生なでしこジャパンの姿を楽しみにしたい。
(取材・文:舩木渉)
【了】