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熊谷紗希「みんなチャレンジすればいいのに」。個の迫力不足、なでしこジャパン国内組に何を勧めたのか?

text by 編集部 photo by Getty Images

熊谷紗希
【写真:Getty Images】



【日本 0-0 オランダ 国際親善試合】

 サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は現地29日、国際親善試合でオランダ女子代表と対戦し0-0のスコアレスドローに終わった。

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 池田太監督の新体制でキャプテンを務めることになったDF熊谷紗希は「このオランダに勝てないようじゃ…というか、勝たなければいけない相手だった」と無得点でのドローを悔いた。

 オランダは前の試合から中1日で、スタメンを全員変更。主力の大半をベンチにも入れず、多くの若手選手を追加招集して何とか人数を揃えていた状態だった。当然、ピッチ上のメンバーの連係は即興感が強く、攻撃に怖さはほとんどなかった。

 無失点には抑えたものの、ボールを支配する時間帯を多く作りながらの無得点。「本当にポテンシャルのある選手が多い中、それでも世界と戦うには本当にまだまだな部分もある」と、熊谷は個々のクオリティ不足を嘆く。

「アイスランド戦も相手にチームメートがいて言われたりしていたんですけど、ゴール前の怖さを相手に与えられていない。今日もでしょうけど。そこでもう1つ崩せるというか、(相手の組織を)壊せるプレーがすごく必要になってくると思うので、そういったところは今後のチームの課題というか、やっていかなければいけないところだと思います」

 今夏の東京五輪から約半分のメンバーが入れ替わり、20代前半の選手たちも増えている。しかし、チームとしても個人としても世界トップクラスとは張り合えない。もしオランダが主力を起用できていたら、その強度についていけず惨敗という結果もありえただろう。

 それでもオランダで2試合戦った経験を次につなげていくことには意味がある。10年間にわたって欧州のトップレベルでプレーし続け、そこで求められるレベルも熟知する熊谷は、若い選手たちに「この感覚は絶対に忘れてはいけない」と、オランダ代表選手たちと肌を合わせた経験の尊さを説く。

「足の長さや伸び、スピード感というのは正直慣れというか、私なんかは毎日戦うのがそういう場所であって、その中で慣れていったというところはあるんですけど。やっぱり、ここで知ったことというか、相手がボールを少し運び出しただけで(プレスを)剥がされるシーンも守備ではあったと思うので、そういうところを日本でやる選手はいかに意識してできるか。

こういう状況(コロナ禍)ですし、(代表の)対外試合がそこまで多く取れない中で、成長していくには普段から意識していくことがすごく大切だと思うし、今日のこの感覚は絶対に忘れてはいけないことだと思います」

 再び世界一を目指すには、世界一を争うチームの選手たちと同じ強度で戦えなければならない。個々のタレント力で大きく劣っていては、日本が強みとする組織力で補うのも限界がある。いまのWEリーグでは、まだまだ欧州トップレベルと張り合えるクオリティにないのは明らかだ。

「本当にWEリーグが盛り上がってほしいという気持ちはすごくありますけど、個人的な願いとしては『みんなチャレンジすればいいのに』とは思っています。自分自身が10年間ヨーロッパでやっていて、日本で感じられないこと、もちろんプレー面を多くですが、いろいろな部分で感じてきたので。行けるんだったらみんな行けばいいのにな、と思っています」

 現在バイエルン・ミュンヘンに所属する熊谷は日本の女子サッカー選手たちに海外移籍を勧めていた。必ずしも全員がそうすべきではないが、海外での挑戦が大きな成長のきっかけになる可能性は誰しもにある。なでしこジャパンで世界一を奪い返すには、選手たちそれぞれが日常での取り組みを明確に変えていく必要があるだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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