【写真提供:JFA】
【日本 0-2 アイスランド 国際親善試合】
サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は現地25日、アイスランド女子代表と対戦して0-2で敗れた。
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2失点という結果のみならず、内容にもなでしこジャパンが抱える積年の課題が表れた。ピッチの縦横幅を大きく使って展開される攻撃に対する脆さは、これまでと変わらず。14分に左サイドを単独で突破されて失点し、71分にも一発のロングボールから再び左サイドを破られて2失点目を喫した。
DF熊谷紗希は試合前に「これまでもですし、今後もでしょうけれど、自分たちがサイドからやられることが多い中で、サイドを崩された時の守備は本当に簡単ではない。特にアイスランドはサイドから攻撃してくるという分析も持った中で、そこでいかに守れるかが勝負を決める」と語っていたが、本当にその通りになってしまった。
池田太監督も「(アイスランドには)サイドにフィジカル的に強くてスピードのある選手もいる」と、サイド攻撃には警戒していた。「我々のコンパクトさと相手の広い展開からのスピードに対するやり合いは気をつけながらも、我々のストロングポイントを生かせればという考えはみんなと共有しています」とも述べていたが、相手の強みを消しきれず失点を重ねた。
コンパクトな陣形を保ちつつ前線の高い位置からプレッシャーをかける意識は強く、しっかりと実践されてもいたが、前へベクトルが向いている一方で背後のケアは二の次に。
DF南萌華は「ディフェンスラインとしては前からプレッシャーをかけている分、背後にスペースがあるというのはもっと自覚しながらやっていかなければいけないと思いますし、ああやって一発でやられてしまうと、それまでの時間帯がすごくもったいなくなってしまう。ああいう1本での失点をなくしていけるように、ディフェンスラインとしてももっと背後のスペースを意識してプレーしなければいけないと思います」と語る。
アイスランドのようにピッチの幅を大きく使う展開は、日本が最も苦手としている部分であり、今後世界の舞台で勝っていくために改善が必要になってくる要素でもある。裏を返せば、攻撃面でも「広い展開」は世界の頂点を目指すために高めていかなければならない部分だ。
南は「太さんからは、ショートパスでつないでいけとは特に言われていなくて。むしろ1個飛ばしのパスを使っていった方がいいと言われている中で、自分からもロングボールが少なかったなと思います」と話していた。
「味方の立ち位置をもっと自分からも指示できたら、(展開を)飛ばせるボールが出せたりできると思います。自分から立って欲しい位置を指示できていけたらなと思いますし、今日は近く、近くになってしまいましたけど、意識をもっと遠くに持たないといけないと思ったので、そこは次のオランダ戦に向けて、前線の選手と話しながら修正をかけていければと思います」(南)
小柄な選手の多いなでしこジャパンや、日本の女子サッカー選手は、世界基準で見るとキックの飛距離が足りていない。それもあって近い距離でのパス交換やコンビネーションに頼りがちになり、ロングパスで相手の頭を越したり、組み立てのプロセスを1つないし2つ飛ばすような大きな展開を苦手としている。国内リーグにおいてもピッチの縦横幅を生かしたダイナミックな展開の経験値が足りていないため、攻撃面でも守備面でもアイスランドのようなチームに後手を踏んでしまいがちだ。
現地29日に対戦する予定のオランダ女子代表も大柄な選手が多く、テクニックだけでなくピッチの縦横幅を大きく使った展開を得意とするチーム。長年、日本女子サッカーが抱えてきた攻守双方にまたがる課題をすぐに克服するのは難しいかもしれないが、アイスランドに突きつけられた現実を改めて直視し、次戦までの3日間を使って少しでもウィークポイントを隠せるような方策を見出したい。
その先に、なでしこジャパンが上っていくための次のステップが見えてくるだろう。
(取材・文:舩木渉)
【了】