“自分たちのサッカー”が出来た試合ではない
果たして「自分たちのサッカーは出来た」と言えるのだろうか。
日本代表は、グループリーグ突破のためには何としても勝ち点3を取らなければならなかったこの試合を0-0のスコアレスドローで終えた。
試合後のスタッツに目を向けてみると、支配率では68%対32%と圧倒。さらに、パス成功本数で570本対144本、成功率でも88%対58%と、双方で大きく上回った。
この結果に試合後のインタビュアーは口々に「自分たちのサッカーは出来たのでは?」という質問を繰り返していた。
しかし、元より堅守が武器のギリシャは前半38分にMFコンスタンティノス・カツラニスが2枚目のイエローカードで退場したことで、よりディフェンスラインを固めてきた。ボールを持つことを完全捨ててドローで終えることを目指したのだ。
そのような相手に対してボールを繋ぐことは、恐らくほとんどのチームが出来るだろう。むしろ、日本代表が目指す“強者のサッカー”をするチームであれば「相手が1人少なくなったから楽になった」と言えなくては意味が無い。
ところが、吉田麻也がコメントしたように「より守備を固めてきたことで崩し切れなかった」のである。前半で11人対10人という試合は数多くあるが、このようなコメントはあまり聞かないものだ。
当然、ギリシャも試合前には勝利を目指したプランを立てていたはずだが、退場後は「ドローでもOK」という意識を持っていただろう。そう言う意味では、日本にとっては敗戦に等しいドローと言える。
ただ、救いはある。前述の質問に対して吉田は「相手が退場したことで“自分たちのサッカー”が出来たけど、退場したからと言われたくないので3戦目でも継続したい」と語り、本田圭佑は返答すら出来ずにいた。
この試合は決して“自分たちのサッカー”が出来た試合ではない。つまり、ここまでは4年間積み上げてきたことが何一つ出来ていないと言えるだろう。
日本時間25日の第3戦はグループ最強のコロンビアが相手だが、2006年に続いて“失われた4年間”にしないためにも選手の奮起を期待したい。
【了】
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